学位論文 古細菌Pyrobaculum calidifontis のチアミン生合成経路の酵素学的研究

林, 麻利亜

pp.1 - 56 , 2016-03-20
内容記述
チアミン(ビタミンB1)の生合成経路の研究は、これまで真正細菌, 酵母, 植物などで成されてきたが、古細菌においては全く報告がなかった。そこで本論文では、古細菌を用いてチアミンのチアゾール部前駆体の特定を試み、さらに、チアミンピロリン酸生合成経路の決定と関連酵素の酵素学的および構造学的な解析を試みた。第1章では、好塩性古細菌Halobacterium salinarumのチアゾール部のC-2 と窒素原子にグリシンのC-2 と窒素原子が取り込まれることをトレーサー実験で明らかにした。この結果とゲノム情報から、H. salinarum のチアゾール部は酵母型チアゾール合成酵素(Thi4)により合成されることが示唆された。第2章では、超好熱性古細菌Pyrobaculum calidifontis の粗酵素抽出液にチアミンリン酸合成酵素活性を検出し、組換えタンパク質を用いた実験から、本菌のthiDN 遺伝子はN 末側にヒドロキシメチルピリミジンキナーゼ/ヒドロキシメチルピリミジンリン酸キナーゼ活性を、C 末側にチアミンリン酸合成酵素活性を持つ多機能酵素をコードすることを証明した。また、真正細菌や真核生物のチアミンリン酸合成酵素であるThiE と古細菌のThiN は、アミノ酸配列に相同性の認められない起源を異にするタンパク質でありながら、同じ反応を触媒するアナログ酵素であることを示した。さらに、超好熱性古細菌Pyrococcus furiosus のThiN タンパク質の結晶構造をひな型に用いて、P. calidifontis のThiN タンパク質結晶構造を予測した。酵素生成物複合体のシミュレーションにおいて、チアミンリン酸やピロリン酸と水素結合しているArg320 とHis341 の変異酵素を作成し、両者がチアミンリン酸合成酵素活性発現に必須であることを示した。第3 章では、P. calidifontis では、補酵素のチアミンピロリン酸はチアミンリン酸キナーゼ(ThiL タンパク質)によって生成することを明らかにした。また、組換えThiL タンパク質の酵素学的解析から、アデニル酸が基質のチアミンリン酸、ATP いずれに対しても不競合的に本酵素活性を阻害することを示した。一方、好熱性真正細菌Aquifex aeolicus の ThiL タンパク質 の結晶構造から反応への関与が予測される Arg136 と Ser196の変異酵素を解析して、Ser196 がチアミンリン酸キナーゼ活性の触媒過程に中心的な役割を持つことを示唆した。
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