学位論文 Significance of Amae as a Transitional Mechanism : Function and Role of the “Zone of Practicable Adaptability”

大道, えりつ

pp.1 - 132 , 2016-03-20
内容記述
本研究は、文献研究と事例のメタ分析を通して、適応的変化はどのように作り出されているのか、その変化プロセスを「移行期」や環境の役割という視点から、その機能と重要性を検討し、新たな理論的提案を行った。第一章では、ZCD (Bridging), ZPD (Scaffold)などの発達の移行メカニズムに関する発達心理学の主要理論を概観し、移行期において発達を促進するメカニズムが存在することが明らかとなった。ZCD (Bridging), ZPD (Scaffold)などのメカニズムは共通的に、変化はいきなり0から1へと変わると捉えるのではなく、新たな状態が定着するまで、発達の移行期に機能する中間的な段階、「可能期間」、として、二つの状態とその機能が同時に存在し、どちらの型式での行動も可能である状態を自分に許し、環境もそれを許している状態として捉え直した。第二章では、「可能領域」が日本文化において特異的に存在しているとされてきた、「甘え」の機能的側面であると考え、家から学校生活への移行などの移行場面において観察される行動について議論し、発達的場面におけるモデルの適合を検討するため、幼稚園や保育園での先生との関わりにおける、子どもの社会的ルールの獲得過程を公刊された論文のメタ分析を行った。第三章では、甘えの概念と近接概念の愛着と依存に関する文献の展望を行い、現時点の甘えの捉え方を整理し、甘えを社会適応的な複合機能として、「愛着」、「依存」、「自立」などを繋ぐ役割について検討した。甘えという機能は、愛着行動と依存行動の共通部分として、人は自立と依存を両方うまく使って、共に可能な状況を自分に許し、環境もそれを許しているという共存の状況 と位置付けし、実証的研究のメタ分析を通じて、内的作業モデルとの関連性や愛着機能の移行を甘えという「可能領域」はどのように機能しているのかについて考察を行った。第四章では、臨床場面を例にとりながら、「可能領域」がどのように記述され、移行のメカニズムとしてどのような機能・役割をはたしているのかを治療セッションの事例分析を通して検討した。第五章では、新たな捉え方として、甘えを社会適応的な複合機能として、発達の移行期に機能する中間的な段階、「可能領域・期間」として捉え直した。「可能領域」は、2つの段階の移行期とみなされる部分において両段階の行動が共存し、試しの存在があることを示唆し、どちらの型式での行動も可能である状態を自分に許し、環境もそれを許している状態として捉えた。ここでの機能は、新しく創発された行動を定着させ、それらを要素とする新しい段階を作り出すものであると考え、新しい行動や他者との新しい接し方が定着するまで、両方の方法を試すことが許される期間として、どの発達の移行期においても同一のメカニズムとして機能すると仮定する。「可能領域」という移行前と移行後の二つの状態や機能の共存を環境も個体もそれを許している状態は日本文化において特異的に存在しているとされてきた、「甘え」の機能的側面であると考え、社会適応過程のみならず、学校生活から社会人への移行や、インターンシップなど様々な移行場面においても観察される普遍的現象であると考えられる。
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http://libir.mukogawa-u.ac.jp/dspace/bitstream/10471/1177/1/ThesisK133.pdf

http://libir.mukogawa-u.ac.jp/dspace/bitstream/10471/1177/2/ThesisK133_S1.pdf

http://libir.mukogawa-u.ac.jp/dspace/bitstream/10471/1177/3/ThesisK133_S2.pdf

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