テクニカルレポート 日本の女性起業家の現状と課題に関する一考察

弘中, 史子  ,  河合, 憲史  ,  鹿住, 倫世  ,  川名, 和美

(No. J-56)  , pp.1 - 26 , 2015-10 , Center for Risk Research (CRR), Shiga University
内容記述
本論の目的は,日本の女性起業家に関する調査に基づいて,女性起業家の現状と課題を把握し,今後の研究プロジェクトを進める上での基礎的な考察を行うものである。わが国は,少子高齢化により将来的に深刻な労働力不足に陥るリスクを抱えている。そのため現政権下では,女性の就業人口増大が経済成長のエンジンになると考え,そのための施策を次々と打ち出している。日本では女性が出産・育児により仕事から離れる傾向が強いことから,そうした女性たちが就業できるようにサポートすることで,縮小経済のリスクを回避し,日本経済活性化の起爆剤にしようと考えていることが背景にある。女性起業家の育成もメインの政策ターゲットの一つであり,昨今では関連する施策が全国で実施されている。しかし,日本はそもそも起業家を育む風土にあるとは言いがたいようである。廃業率が開業率を上回る状況も,依然として継続している。世界銀行が発表するDoing Business 2015によれば,起業のしやすさはOECD高所得国31カ国中で27位となっており,起業が厳しい状況にある。また世界経済フォーラムが発表した各国内の男女間の格差を数値化しランク付けしたジェンダー・ギャップ指数によれば,日本は142カ国中104;位という低位に甘んじている。つまり日本の女性起業家は,起業のしにくさとジェンダー・ギャップという二重の壁にぶつかっているといえる。 このような現状に鑑み,我々は日本の女性の起業とその成長がどのような要因によって決定されるのかについて究明することを目的として,研究プロジェクトをたちあげた。将来的には諸外国と比較し,女性の起業と,マクロな環境条件や文化,家族,産業構造などはいかにして相互作用があるのかを明らかにする国際比較研究に発展させることを視野に入れている。 そこで,第一段階として日本の女性起業家の実態を把握することを目的として,アンケート調査を実施した。日本における女性起業家育成について,統計データを用いて体系的に研究したものは稀少だからである。本論では,調査結果の記述統計から基本的な考察を行うことで,今後さらに統計的な分析を深めていくための導入としたい 。 本研究は公益財団法人 全国銀行学術研究振興財団による研究助成を得て実施されたものである。記して感謝したい。

このアイテムのアクセス数:  回

その他の情報