学術雑誌論文 <総説>がん上皮間葉転換における選択的RNAスプライシング調節機構の存在

石井,裕貴  ,  増山,敬祐

31 ( 1 )  , pp.9 - 14 , 2016 , 山梨大学医学会
ISSN:1348-5091
NII書誌ID(NCID):AA11839837
内容記述
がん細胞は上皮間葉転換(EMT)によって運動能や浸潤能を獲得し,浸潤・転移など悪性形質を獲得する。このEMTの調節機構の一つに選択的RNAスプライシングによる調節機構が存在している。この制御を担っている因子には上皮スプライシング調節タンパク質(ESRPs)があり,主にがん細胞内で上皮形質に関わる遺伝子の選択的RNAスプライシングを制御し,上皮形質を維持している。ESRP1/2のホモログがあり,いずれもEMT過程においてその発現が抑制される。我々はESRP1がアクチン動態を制御するRac1の恒常活性型スプライシングバリアントであるRac1bをRNAスプライシング機能により抑制し,一方ESRP2はδEF1およびSIP1発現を抑制することでがん細胞の運動能を制御していることを解明した。またESRP1/2は正常上皮にはほとんど発現していないものの発がん過程において上昇し,間質への浸潤先端のがん細胞ではESRP1/2発現が低下,さらにがん浸潤・転移巣では再度上昇しており,ESRP1/2発現に可塑性があることも明らかにできた。EMT制御機構については未だ明らかになっていない点が多いが,今回の研究を通して,新たながん治療戦略を生む可能性も示唆できた。
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http://opac.lib.yamanashi.ac.jp/opac/repository/1/29673/YMJ31-1-009to014.pdf

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