紀要論文 国境を超えて家族生活を営む権利(1) -オーストラリア法と比較しての一考察-
The Family Right of Life Across the National Border -A Review Comparison with Australian Laws.-

奥野, 圭子  ,  Okuno, Keiko

49pp.87 - 98 , 2015-03-31 , 神奈川大学経営学部
NII書誌ID(NCID):AN10153220
内容記述
一昨年、性同一性障害のために、いわゆる性転換手術を受け女性から男性へとなり戸籍を変更した者が女性と結婚した。そして、その妻との間に他人の協力を得て授かった子どもの法律上の父となることを望んで最高裁の判断をあおぎ望みを叶えたことは記憶に新しい。この事例は、世間に非常に強いインパクトを与えた。一部の人には大きな希望を与え、また一部の人には「家族崩壊」だと落胆を与えたが、性別や血縁関係をも超えたわが国の「家族の多様化」の発展を法が認めた画期的な判断であったことは間違いない。 今日、家族に関する人々の意識は変化し、ライフスタイルも実に多様になっている。この事実は、人々が自由に人生の選択ができるようになった表れであるとも考えられるので、憲法の立場からみれば、個人の尊重が名実ともに浸透してきたとみることができるであろう。 その一方で、現状に法が追い付いていないのもまた事実である。わが国の出入国・在留に関する法は、立法当初から厳格な出入国管理法制で、その根底には、「入国した者は、いずれ出国する」という概念がある。以前と比べれば、随分と家族が離散しないように配慮されるようになったともいえるが、それでもこれは、権利ではなく恩恵として与えられている。このような問題を解決するために、2009年(2012年施行)に出入国及び難民認定法(以下、「入管法」という)に移民法制度を反映させる目的で同法の大改正が行われたが、家族生活の見地からすると改悪している個所もある。 「家族の多様化」とは、ライフスタイルの多様化でもある。日本人のみで家族を構成しているならば、家族の条件に入管法の求めるような同居は含まれない。これを外国人にのみ課す結果となる現行法も見直す必要があるのではないだろうか。そこで、本稿では、建国当初から「家族再会」の理念を根底におき、法律上にもそのことを配慮し続けているオーストラリアの法制度と比較し、憲法の観点から、「家族」という集団、そして「家族」を形成する個人の有する権利について再考してみたい。
研究論文
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http://klibredb.lib.kanagawa-u.ac.jp/dspace/bitstream/10487/12753/1/49-06.pdf

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