会議発表論文 セレンフリーCu(In,Ga)S2薄膜太陽電池の変換効率改善

廣井, 誉  ,  Hiroi, Homare  ,  岩田, 恭彰  ,  Iwata, Yasuaki  ,  杉本, 広紀  ,  Sugimoto, Hiroki  ,  山田, 明  ,  YAMADA, AKIRA

2016-09
内容記述
【背景・目的】セレンフリーCu(In,Ga)S2は、カルコゲナイド系薄膜太陽電池の中でもH2Seガスを用いずに作製可能である為、将来的に低コスト化が見込まれる太陽電池材料として有望である。しかしながら、2009年の報告[1]以降大きな進捗が無く、その変換効率は12~13%程度であった。これらのCu(In,Ga)S2光吸収層は結晶成長を促進する為にCuリッチ組成で製膜されるが、製膜後の光吸収層表面にCuS層が析出してしまい変換効率低減の大きな要因となり、更に、光吸収層のラフネスが大きい事も変換効率低減の要因となっている。従って、CuS層を除去する目的でKCNエッチング及びバッファー層によるカバレッジを向上させる目的でCdSを用いるのが一般的である[2,3]。しかし、更なる低コスト化及び安全性の観点から、KCN及びCdSを必要としないプロセスの開発が望まれる。この様な背景の下、本研究では、高速昇温硫化により作製した光吸収層及びZn1-xMgxOを用いたバッファー層を組み合わせることでKCN及びCdSを必要としないプロセスにおいてセレンフリーCu(In,Ga)S2の変換効率の改善が明らかになった為、詳細を調査した。 【実験方法】プリカーサーとして、Moコーティングされたガラス基板上にCu,Ga,Inをそれぞれスパッタ法によって堆積し、H2Sガスを用いて硫化することでCu(In,Ga)S2光吸収層を作製した。今回、硫化時の昇温速度を20C/minから140C/minまで4条件変更する事で、昇温速度が電池特性に与える影響を調査した。また、同一条件で作製された光吸収層に対し、Mg量を変更した7種類のZn1-xMgxOバッファー層(x=0.13~0.50)を製膜し、それぞれ電池特性を測定することでZn1-xMgxOバッファー層のMg量における電気パラメーターへの依存性を明らかにした。 【実験結果】図1が示すように、昇温速度を上げるほど全ての電気パラメーターが改善し、結果的に変換効率も向上した。これは、光吸収層内の金属組成の深さ方向プロファイルが変化する事で、キャリアのバルク内再結合が防がれた為であると推測される。また、図2から解るように、Mg量をx=0.13から増加させていくと徐々に変換効率が改善して行き、x=0.25で最大値となった。しかし、x=0.3以上のMg量になると短絡電流及び曲線因子が低下して、変換効率も悪化してしまうことが分かった。これらは、バッファー層と光吸収層との界面におけるバンドアライメントの変化に起因しており、Mg量を増加させていく事で、界面の伝導帯バンドオフセットが“クリフ”から“スパイク”になり、キャリアの界面再結合を防いだことによるものと考えられる。

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