会議発表論文 生体表面付着物分析のための デュアルプラズマ脱離/イオン化システムの開発

相田, 真里  ,  Aida, Mari  ,  掛川, 賢  ,  Kakegawa, Ken  ,  岩井, 貴弘  ,  Iwai, Takahiro  ,  名兒耶, 友樹  ,  Nagoya, Tomoki  ,  宮原, 秀和  ,  Miyahara, Hidekazu  ,  瀬戸, 康雄  ,  Seto, Yasuo  ,  沖野, 晃俊  ,  OKINO, AKITOSHI

2015-06
内容記述
 医療や美容の現場では,皮膚表面上の汗や皮脂が含む微量成分を分析することで,例えば疾病の早期診断等が期待できるため,高感度な生体表面付着物分析装置の開発が期待されている。表面付着物のサンプリング(脱離)方法には,レーザーや高温のガスを照射するものなどが実用化されているが,いずれも人間の皮膚のような熱や損傷に弱い表面への適用は困難であった。発表者らはこれまでに,生体表面にも安全に照射できる大気圧パルスマイクロプラズマを用いて付着物を脱離させる手法を提案し,質量分析装置に適用してきた。この手法により,数種類の医薬品と化粧品をpmolレベルの検出下限で分析に成功している1。この値は高温ガスを用いた分析装置と同程度であるが,様々な微少量成分を分析するためには,より高い検出感度が望ましい。また,従来の装置では脱離部と質量分析装置は直結されていたが,実用化を考慮すると,両者はある程度の距離を持って利用できることが望ましい。 そこで本研究では,分析感度の向上と装置の利便性向上のため,図に示すような,試料脱離用のプラズマ源と,脱離した試料のイオン化を行うためのプラズマ源を持つ,デュアルプラズマ脱離/イオン化システムの開発を行った。従来の装置では脱離とイオン化を1つのプラズマで同時に行っていたが,この装置では2つのプラズマ源で両過程を個別に最適化することができる。さらに,サンプリング部を,質量分析装置から離して可動できるため,実用化にも有効的である。脱離用のプラズマには大気圧パルスマイクロプラズマを,イオン化用のプラズマには誘電体バリア放電を使用し,いずれもヘリウムでプラズマを生成した。両プラズマ源の距離を100〜500 mmまで変え,蒸気圧0.001 Paで難揮発物質であるサリチル酸フェニル5 ngを試料に用いて分析を行った。その結果,試料が質量分析装置から500 mm(従来の約50倍)離れていても従来の装置と同程度である22 pmolの検出下限を得ることができた。 この手法では,脱離した試料はガス中の水分子から生成されるプロトンを付与されて質量分析されている。試料を効率よく質量分析するためには,付与するプロトン量の制御が必要である。そこで,イオン化用のプラズマを生成するヘリウムに水素(1%)を添加して質量信号の測定を行った。その結果,試料の信号強度が約3倍に,試料由来と思われるフラグメントの信号は約34倍に増加した。この要因を調べるため,イオン化用プラズマの電子密度や励起温度を測定したところ,電子密度は半分に減少したが,励起温度は1.5倍に増加した。これらのプラズマパラメータを適切に制御することで,イオン化部が最適化される可能性がある事が示唆された。発表では,様々な試料の質量分析結果と,皮膚上の実サンプルの分析結果についても報告する。1. T. Iwai et al., J Mass Spectrom., 49, 522-528 (2014).

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