紀要論文 〝説得〟コミュニケーションの研究 : Self Persuasion『自主説得』の考察

中村,克洋

上巻pp.733 - 768 , 2017-07-31 , 広島経済大学
ISBN:9784902619171
内容記述
説得(的)コミュニケーションとは,受け手(コミュニケーションの相手)の意見を特定の方向に変化させ,それによって相手の行動を変化させることをねらった(意図的)コミュニケーションである。
古来,受け手(コミュニケーションの相手)の行動を自分の都合のいい方向に変化させることを目的にした『説得行為』が,様々に工夫されて行われてきた。また,成功効率の高い「説得テクニック」が模索されてきた。
しかし,相手の意見や行動を特定の方向に変化させるというコミュニケーション行為には,必然的に,ある「作為」がともなう。この「作為」が,ややもするとリアクタンス(心理的な反発)を引き起こす。いわゆる「不本意な感情」である。「だまされた」「のせられた」「してやられた」といった負の感情を引き起こしてきたのである。従来の説得コミュニケーションのテクニックは,すべてこういったリスクを伴っている。この従来型の説得テクニックを本論では『古典的説得技法』と名づけておく。
その『古典的説得技法』に対して,本論の主題である『Self-Persuasion』(『自己説得』と邦語訳するケースが多いが,宗教的な意味合いを持って使われる場合が多いので,本論では『自主説得』として論述する)は,リアクタンスが全く起きないという意味で画期的であり,両者(説得者と被説得者)が,お互いウィンウィンの関係が保てるというメリットまである。
この『自主説得』を効率よく使うことによって,人間関係は良好に保たれ,ビジネスの現場での様々な説得行為における説得(的)コミュニケーションを理想的な形で行うことができる。
本論では,説得行為そのものの考察を行うことで,古典的説得技法における説得コミュニケーションの理論を確認し,その発展的段階として『自主説得』というリアクタンスを生まない最先端の説得技法に言及する。
人生やビジネスの現場の「説得シーン」において,もっとも理想的な『自主説得』を使いこなし,より良い人間関係や目覚ましいビジネス実績を残せる「説得のエキスパート」となることに資するべく,本論を起稿する。
1.〝何が〟『人を動かす』のか〝説得心理〟の分析 1.1 古典的説得法で説得の基礎を知る 1.2 説得は『二つの原理』が支配 1.2.1 『返報性の原理』と『一貫性の原理』 1.3 〝フット・イン・ザ・ドア〟『一貫性の原理』 1.3.1 【小さなイエス】から【『一貫性』の(大きな)イエス】 1.3.2 「フット・イン・ザ・マウス」 1.4 〝ドア・イン・ザ・フェイス〟『返報性の原理』 1.4.1 【大きなノー】から【『返報性』の(小さな)イエス】 2. 新原理を理解する その名は『自主説得』 2.1 これぞ究極の説得だ 2.1.1 『自主説得』は〝ウィンウィン〟 2.1.2 非常に興味深い〝ある実験〟(アメリカ国民に〝虫〟を食べさせる) 2.1.3 実験結果から見えた『自主説得』の〝心理的背景〟 2.2 最先端の説得技法『自主説得』 2.2.1 吉本さんに〝マツダ〟の車を買ってもらう 2.2.2 これまでとは〝全然ちがう〟(「心理的反発」がまるでない) 2.2.3 古典的説得では〝あまのじゃく心理〟がジャマをする(説得するほど反発をかう) 2.2.4 こんな説得〝なかった〟(〝反発〟がまるでない) 2.3 〝メリット〟を自主的に認識する『自主説得』 2.3.1 〝生命保険〟の勧誘 3.最新理論『自主説得』を〝実践〟する 3.1 『自主説得』のノウハウ 3.1.1 〝相手に言わせる〟ための「質問」がほしい 3.1.2 「言わせる」ための〝聞き出し〟 3.1.3 〝逆〟効果の〝聞き出し〟質問 3.2 〝聞き出し〟のコツ『イイとこ掘り』 3.2.1 答えの〝正しい誘導〟と〝会話の支配〟 3.2.2 「イイとこ」のバリエーション(言いかえ) 3.3 『イイとこ掘り』を繰り返しているうちに 3.3.1 『自主説得』効果は〝持続〟する 3.3.2 『自主説得』はアトからでも〝発現〟する 4.『自主説得』のバックアップ技法(『一般的会話技法』より) 4.1 火縄銃よりマシンガン 4.1.1 ねらった答えを次々に誘発するには? 4.1.2 『イイとこ掘り』は会話を支配する 4.1.3 『イイとこ掘り』の連発撃ちは〝5W1Hを聞け!〟 4.2 主語を『私(たち)』に変える 4.2.1 主語を『私』に変えると……(『返報性の原理』が使える!) 4.3 「教えてください」で〝教えたがる〟相手を利用 4.3.1 『自主説得』への〝くすぐり効果〟 4.4 相手を〝いい気分〟にさせて『自主説得』効果を上げる 4.4.1 『ラべリング』 4.4.2 〝ほめて〟『返報性の原理』『一貫性の原理』をうながす あとがきにかえて 参考文献
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http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/hue/file/12322/20171030103753/50thJO26.pdf

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