Departmental Bulletin Paper 納税者の視点から見た日本の租税法に関する基礎的研究(Ⅳ・完)
A Basic Study of the Japanese Tax Laws Act from the Viewpoint of the Tax Payer (IV)

餅川,正雄

38 ( 4 )  , pp.175 - 202 , 2016-03-31 , 広島経済大学経済学会
ISSN:0387‐1444
NCID:AN00408380
Description
第10章では,1949(昭和24)年の『日本税制報告書』(シャウプ勧告)について考察する。この勧告において,最も重視されたのは「租税負担の公平化」である。その内容は,第1に直接税を中心とする負担の公平化である。第2は,所得税における総合累進課税の徹底という“垂直的公平”である。第3に経済的に全く同じ立場にある二人の納税者間における負担の公平,すなわち“水平的公平”である。「シャウプ勧告」の内容や特徴を整理することを通して,現代の我々は何を学ぶことができるのかを明らかにする。第11章では,「租税法の法源」について考察する。租税法の法源の中では「法律」が中枢的地位を占めるが,租税の在り方にとって法源としての憲法の存在は重大であることから,その憲法の諸規定の法的な意味を考察する。また「通達行政」・「通達課税」という用語があるように,税務通達によって課税が行なわれることがあるが,納税者は通達をどのように理解すればよいのかを検討する。最後の第12章では,本研究を振り返って総括的なまとめを行うとともに,考察を通して分かった「納税者の権利擁護こそが租税正義の実現であること」などを論述する。
1.はじめに 2.租税根拠論の考察 2.1課税のjustificationとしての租税利益説 2.2課税のjustificationとしての租税義務説 2.3二つの租税根拠学説と租税負担の配分問題 2.4日本国憲法の民主主義的租税観 2.5小括 3.租税原則論の考察 3.1AdamSmithの租税原則 3.2AdolfWagnerの租税原則 3.3RichardAbelMusgraveの租税原則 3.4PaulAnthonySamuelsonの租税制度の目標 3.5NicolasKaldorの優れた税制のための4つの配慮 3.6JosephEugeneStiglitzの租税制度の5特徴 3.7JohnRawlsの正義の理論 3.8日本における租税原則の解釈 3.9小括 (以上,1章~3章は,『広島経済大学研究論集』第38巻第1号に掲載) 4.租税のLegalconceptに関する考察 4.1国家の側からの租税の定義 4.2国民の側からの租税の定義 4.3租税の徴収面と使途面を含んだ租税の定義 4.4最高裁判所の判決にみる租税の定義 4.5租税の法的定義に関する考察のまとめ 4.6小括 5.TaxJusticeと租税法のBasicPrinciplesに関する考察 5.1JohnRowlsの“ATheoryofJustice”(正義論) 5.2Rowlsが説明する原初状態で諸原理が承認されていく順序 5.3Justice(正義)以外の前提条件から導かれるBasicPrinciples(基本原則) 5.4小括 (以上,4章・5章は,『広島経済大学研究論集』第38巻第2号に掲載) 6.Taxlawtheoryの前提となるTaxJusticeとPostulatesの考察 6.1TaxJusticeと3つのPostulatesの関係 6.2Taxlawtheoryの前提とRawlsのJusticeconceptの関係 6.3小括 7.TaxLegalismのPostulateに関する考察 7.1納税要件等法定主義の原則 7.2TaxLegalismのPostulateから析出される法理的要請 7.2.1TaxAdministrationAgencyの自由裁量権の不存在 7.2.2命令への一般的・白紙的委任の違憲・無効性 7.2.3Theinterpretationofthetaxlawsにおける税務通達の無法源性 7.2.4租税法の厳格なInterpretationandapplicationの要請 7.2.5疑わしき場合にはTaxpayersの立場で解釈 7.3TaxAdministrationの合法律性の原則 7.3.1Reservationoflawsの適用範囲に関する3つの学説 7.3.2税務行政の合法律性の原則の3つのConstraintsprinciples 7.3.3Taxnotification(税務通達)の適用要件 7.4小括 8.TaxpayersovereigntyprincipleのPostulateに関する考察 8.1「租税民主主義の原則」と「租税能率主義の原則」 8.2Self-assessmentsystem(自己賦課制度) 8.3Taxreturnrights(納税申告権) 8.4小括 9.Taxequityprinciple(租税公平主義)のPostulateに関する考察 9.1応能負担(公平負担)の原則 9.2Taxmixのimportantfactor 9.3Realincomepersonstaxation(実質所得者課税)の原則 9.4租税公平主義と租税法律主義とのconflict 9.5課税の公平とTaxationbaseの問題 9.6小括 (以上,6章~9章は,『広島経済大学研究論集』第38巻第3号に掲載) (以下,本号) 10.『ShoupMission[1949]』の考察 10.1戦後混乱期の租税制度 10.2『ShoupMission[1949]』の目標と内容 10.3『ShoupMission[1949]』の特徴と租税負担の公平化 10.4ShoupTaxSystemの挫折 10.5小括 11.租税法のSourceofLawに関する考察 11.1租税法のSourceofLawとしての憲法 11.1.1日本国憲法第30条と第84条 11.1.2法治主義に基づく財産権の保障 11.1.3最高裁判所の違憲審査権 11.2租税法のSourceofLawとしての法律 11.2.1基本的共通的事項を定める法律(一般的共通法) 11.2.2個別的事項を定める法律(個別的租税法) 11.3租税法のSourceofLawとしての政令と省令 11.3.1SourceofLawとしての政令 11.3.2SourceofLawとしての省令 11.4租税法のSourceofLawとしての条例と規則 11.5租税法のSourceofLawとしての条約及び確立された国際法規 11.6租税法のUnwrittenLawSource 11.6.1法の一般原則・条理 11.6.2判例法 11.6.3行政先例法 11.7通達の法源性の有無 11.8小括 12.おわりに 12.1本研究のまとめ 12.2研究全体の総括
研究ノート
Full-Text

http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/hue/file/12238/20160419130113/kenkyu2016380413.pdf

Number of accesses :  

Other information