Departmental Bulletin Paper 納税者の視点から見た日本の租税法に関する基礎的研究(Ⅲ)
A Basic Study of the Japanese Tax Laws Act from the Viewpoint of the Tax Payer (III)

餅川,正雄

38 ( 3 )  , pp.31 - 57 , 2015-12-31 , 広島経済大学経済学会
ISSN:0387‐1444
NCID:AN00408380
Description
本研究(Ⅲ)は,Rawlsの“A theory of justice”から析出した3つの公準(Postulates)を出発点とする。因みに,Postulatesというものは,理論構築の前提となるものであり,その存在について理論的な証明を不要とするものである。一般には租税法に共通するBasic Principlesとして説明されるものであるが,筆者はこの基本原則を公準として捉え,公準から租税法に関する諸原則が理論的に導かれるという考え方を採用する。第6章では,租税法理論の前提としてのTax JusticeとPostulatesの関係性を考察する。租税法の目的はTax Justiceの実現であり,正義の目的は国民の幸福追求権を護ることである。租税正義から納税者主権主義が導かれる。正義には形式的な側面と実質的な側面があり,形式的な正義から租税法律主義,実質的な正義からは租税公平主義の公準が導かれる。第7章では,租税法律主義(Tax Legalism)の公準について考察し,この公準から導かれる納税要件等法定主義の原則と税務行政の合法律性の原則という2つの基底的な原則の内容を明らかにする。第8章では,納税者主権主義(Taxpayer sovereignty principle)の公準について考察し,この公準から導かれる租税民主主義の原則と租税能率主義の原則について明らかにする。第9章では,租税公平主義(Tax equity principle)の公準について考察し,この公準から導かれる応能負担の原則と実質所得者課税の原則について明らかにし,課税ベースの問題についても論及する。第6章から第9章の構成は,次の図のとおりである。
1.はじめに 2.租税根拠論の考察 2.1課税のjustificationとしての租税利益説 2.2課税のjustificationとしての租税義務説 2.3二つの租税根拠学説と租税負担の配分問題 2.4日本国憲法の民主主義的租税観 2.5小括 3.租税原則論の考察 3.1AdamSmithの租税原則 3.2AdolfWagnerの租税原則 3.3RichardAbelMusgraveの租税原則 3.4PaulAnthonySamuelsonの租税制度の目標 3.5NicolasKaldorの優れた税制のための4つの配慮 3.6JosephEugeneStiglitzの租税制度の5特徴 3.7JohnRawlsの正義の理論 3.8日本における租税原則の解釈 3.9小括 (以上,1章~3章は,『広島経済大学研究論集』第38巻第1号に掲載) 4.租税のLegalconceptに関する考察 4.1国家の側からの租税の定義 4.2国民の側からの租税の定義 4.3租税の徴収面と使途面を含んだ租税の定義 4.4最高裁判所の判決にみる租税の定義 4.5租税の法的定義に関する考察のまとめ 4.6小括 5.TaxJusticeと租税法のBasicPrinciplesに関する考察 5.1JohnRawlsの“ATheoryofJustice”(正義論) 5.2Rawlsが説明する原初状態で諸原理が承認されていく順序 5.3Justice(正義)以外の前提条件から導かれるBasicPrinciples(基本原則) 5.4小括 (以上,4章・5章は,『広島経済大学研究論集』第38巻第2号に掲載) (以下,本号) 6.Taxlawtheoryの前提となるTaxJusticeとPostulatesの考察 6.1TaxJusticeと3つのPostulatesの関係 6.2Taxlawtheoryの前提とRawlsのJusticeconceptの関係 6.3小括 7.TaxLegalismのPostulateに関する考察 7.1納税要件等法定主義の原則 7.2TaxLegalismのPostulateから析出される法理的要請 7.2.1TaxAdministrationAgencyの自由裁量権の不存在 7.2.2命令への一般的・白紙的委任の違憲・無効性 7.2.3Theinterpretationofthetaxlawsにおける税務通達の無法源性 7.2.4租税法の厳格なInterpretationandapplicationの要請 7.2.5疑わしき場合にはTaxpayersの立場で解釈 7.3TaxAdministrationの合法律性の原則 7.3.1Reservationoflawsの適用範囲に関する3つの学説 7.3.2税務行政の合法律性の原則の3つのConstraintsprinciples 7.3.3Taxnotification(税務通達)の適用要件 7.4小括 8.TaxpayersovereigntyprincipleのPostulateに関する考察 8.1「租税民主主義の原則」と「租税能率主義の原則」 8.2Self-assessmentsystem(自己賦課制度) 8.3Taxreturnrights(納税申告権) 8.4小括 9.Taxequityprinciple(租税公平主義)のpostulateに関する考察 9.1応能負担(公平負担)の原則 9.2Taxmixのimportantfactor 9.3Realincomepersonstaxation(実質所得者課税)の原則 9.4租税公平主義と租税法律主義とのconflict 9.5課税の公平とTaxationbaseの問題 9.6小括
研究ノート
Full-Text

http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/hue/file/12218/20160106095623/kenkyu2015380304.pdf

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