紀要論文 〈モーニングセミナーから〉急性肝障害をきたした2例

瀬戸口, 知央  ,  南, 知宏

42 ( 3-4 )  , pp.125 - 134 , 2017-12-20 , 近畿大学医学会
ISSN:03858367
内容記述
[抄録]肝機能異常は実臨床においてよく見受けられる.肝機能異常を認めたとしても多くの場合は無症状であり,健康診断やかかりつけ医の定期検査等で偶然指摘されるが,時には全身倦怠感,食欲低下,腹水,下腿浮腫,黄疸など様々な症状があり,その際はすでに肝機能異常が進行している場合が多い.また,肝性脳症を発現する場合は極めて予後不良である.今回,我々は急性肝障害を来した2例を経験した.症例1は61歳男性,食思不振および倦怠感を主訴に近医受診し,高度の肝機能障害を認め紹介受診となった.脳症は認めず,PT 活性52%,T.Bil 10.2と重症の肝障害であった.精神科より多数薬剤を投与されていたが1年以内の変更・増量はなく,採血で各種ウイルスマーカーも陰性,腫瘍性病変等も認めなかった.γ-GTP およびIgA が高値であり,長期間の多飲歴があるためアルコール性急性肝障害と診断し保存的加療のみで改善した.症例2は23歳女性,頭痛と発熱を主訴に近医受診したところ扁桃炎と診断され抗生剤・解熱剤投与で経過観察された.しかし,改善乏しく,後日の採血で肝機能障害を指摘され紹介受診となった.精査したところ,両側扁桃に白苔があり,採血で異型リンパ球,EBV VCA IgG(±),EBV VCA IgM(+),EBV VCA IgG(-)を認めたことよりEB ウイルス初感染と診断した.その後,白血球の好中球分画の上昇はないため,抗生剤投与は行わず点滴加療とし,肝逸脱酵素の低下および食事摂取が可能となった時点で退院とした.肝機能異常は様々な原因によって生じるため,その鑑別は極めて重要である.急性肝障害の鑑別診断を中心に文献的考察を加えて報告する.
本文を読む

https://kindai.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=19167&item_no=1&attribute_id=40&file_no=1

このアイテムのアクセス数:  回

その他の情報