Departmental Bulletin Paper 〈総説〉低線量放射線リスク研究動向と放射線防護体系

宮崎, 振一郎

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2011年に発生した福島第一原子力発電所事故は、低線量放射線被ばくによる健康影響を解明する必要性をこれまで以上に高めている。事故直後そして今後続く汚染地域での放射線被ばくによる健康影響への不安を払拭すること、飛躍的に使用頻度、使用対象が拡大している医療(診断、治療)及び放射線利用などが進むにあたり、社会の幅広い分野で放射線、特に低線量(率)放射線被ばくの健康影響に関するデータ、考え方をより明確にする必要性が高まっている。その解明が最も必要とされる低線量(率)放射線の線量領域は日常生活で観察される年数ミリSvレベルに近い領域であるため、これまでは科学的なデータで示されることなく、いわゆる閾値の無い直線仮設(LNT: Linear Non-Threshold)を使って科学的データがあるとされる100mSv以上の被ばくリスクから推定してきている領域が対象になる。低線量(率)放射線の健康影響の解明についての必要性の高まりは、100mSv以上の被ばくリスクからの推定ではなく、より科学的根拠に基づいた内容にすることへの要求であり、急務となっている。その問題意識を踏まえて、生物研究による科学的な解明への試みが世界的に進められている。近年、それらの動きの中から今後の放射線防護体系のパラダイムシフトにつながる動きが現れつつあり、生物研究の内容、放射線防護体系の考え方に大きな変化を与える可能性がある。
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