紀要論文 〈原著〉ヘルペス性角膜炎発症におけるCCL20-CCR6ケモカイン系の役割

坂本, 万寿夫

41 ( 1-2 )  , pp.39 - 46 , 2016-06-23 , 近畿大学医学会
ISSN:03858367
内容記述
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)は角結膜より感染し,三叉神経節内に潜伏感染する.その後HSV-1は様々な誘因で再活性化され,ヘルペス性角膜炎を呈する.本疾患は重篤な視力障害を来たしうるが,いまだ根本的治療法・予防法は確立されていない.HSV-1感染症を含む急性ウイルス感染症では,樹状細胞(DC)およびCD4陽性T細胞がCD8陽性T細胞を刺激して細胞障害性T細胞(CTL)を誘導し,これらが感染細胞を除去する(1型ヘルパーT細胞型免疫反応/Th1反応).また近年の研究により,ヘルペス性角膜炎病変部ではCCL20ケモカインおよびその受容体CCR6が高発現していることが明らかとなった.CCR6発現細胞としては未熟DCやIL-17サイトカイン高産生型ヘルパーT細胞(Th17)等があり,これらの細胞がCCL20-CCR6ケモカイン系を介して本病変に集積し病態形成に関与している可能性がある.特にTh17反応はTh1に対して抑制的に作用しうるため,本疾患の症状顕在化に対して抑制的に働きうることが示唆される.そこで本研究では,ヘルペス性角膜炎の病態におけるCCL20-CCR6ケモカイン系の役割を明らかにすべく,Ccr6 遺伝子欠損マウス(Ccr6 -KOマウス)を用いた実験を行った.まずC57BL6/J野生型マウス(WTマウス)および同系Ccr6 -KOマウスにHSV-1を経角膜的感染させたところ,Ccr6 -KOマウスでは角膜炎症出現頻度が亢進していた.またCcr6 -KOマウス炎症角膜では組織破壊的免疫反応亢進がみられた.角膜および三叉神経節内のウイルス感染率には著変なかったものの,Ccr6 -KOマウスではTh1型およびTh17型免疫反応関連ケモカインの発現亢進がみられた.またCcr6 -KOマウスでは三叉神経節へのTh17細胞浸潤が低下していた.以上の結果より,難治性ヘルペス性角膜炎ではTh1亢進がみられ,同時にTh1反応に対し抑制的に働くTh17反応が減弱し,HSV-1感染細胞の過剰破壊がみられるものと考えられた.
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