紀要論文 〈原著〉微細加工装置により作製したマイクロ軟骨を細胞供給源とする新規軟骨再生誘導法の開発

西脇, 仁

40 ( 3-4 )  , pp.91 - 100 , 2015-12-21 , 近畿大学医学会
ISSN:03858367
内容記述
軟骨組織の再生修復能は極めて低く, かつ軟骨欠損部への軟骨片移植の臨床成績はいまだ不良である. 近年では幹細胞を用いた軟骨再生誘導法が開発され臨床応用されつつある. しかし幹細胞を単離する従来法にも手技上のコストや手技に伴う細胞障害等の諸問題が存在している. また以前の研究結果より, 幹細胞を含む軟骨細胞塊を用いた軟骨再生が可能であることが分かっている. そこで本研究では従来の方法を発展させ, より実際的な新規軟骨再生誘導法の開発を試みた. まず軟骨を低侵襲的に微細加工する装置を作製し, 再生誘導に適したマイクロ軟骨サイズの検討を行った. その結果, 細胞利用率が最も高いマイクロ軟骨の至適サイズは, 100~400μm前後であると推測された. 次に塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor/bFGF)徐放化システムを軟骨移植に併用し, 本サイトカインが移植後軟骨片に及ぼす影響を評価した. その結果, 自家軟骨移植時にbFGF徐放化システムを併用することで, SOX5活性化を伴う軟骨細胞増殖が促進されることが示された. さらにマイクロ軟骨を吸収性足場材料に接着させ, マイクロ軟骨・足場材料・bFGF徐放化システムを組み合わせた移植を行い, 細胞培養行程を介さない新規軟骨組織再生誘導を試みた. その結果, bFGF徐放化システムによるbFGF拡散の程度はマイクロ軟骨のサイズに依存し, 比較的小型の100μm群においてSOX5発現亢進を介した軟骨再生が最も効率よく行われることが示唆された. 以上の結果より, 微細加工装置により作製したマイクロ軟骨にサイトカインを併用することで軟骨組織の分化増殖を促しうることが示され, 培養行程を介さない新規軟骨再生誘導法の可能性が示唆された.
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