Departmental Bulletin Paper 寺山修司《書を捨てよ、町へ出よう》・映画における音楽の機能

伊藤, 徹

2017-11 , 京都工芸繊維大学
ISSN:1882-8779
Description
本論は、寺山修司の映画作品《書を捨てよ、町へ出よう》(1971年)を手掛かりに、映画における音楽の機能を考えようとする試みである。まず寺山の基本志向を、美的経験の主体と客体の関係ならびにプロットの脱構築の二点に見定めた上で、この映画の非連続性もしくはまとまりのなさを摘出する。だがこうしたドラマトゥルギー上の弱さが、寺山自身の意図したところであることを、最初に配られた台本とその書き換えの痕跡を辿ることなどによって、明らかにする。さらに音楽と緊密に結びついたシーンがこの映画に基本的なプロットを切断するかたちで挿入されていることを四つのケースをもって確認した上で、この映画における音楽の機能を、不可避的に生成してしまうプロットへの抵抗に見出そうと試みた。最終章において本論は、こうした映画における音楽の機能を、ジークフリート・クラカウアー『映画の理論』の助けを借り、アリストテレスが『詩学』で音楽において割り振った悲劇創作上の位置に抗して、プロット以前の場所への通路を開くものとして、解釈した。
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http://repository.lib.kit.ac.jp/repo/repository/10212/2339/10_01_T.Ito.pdf

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