Thesis or Dissertation 組物複合材料シャフトの内部構造および力学的特性に関する研究

齋藤, 毅

2015-09-24
Description
本論文では、組物複合材料シャフトの内部構造および力学的特性の設計手法構築に関する研究を行った。スポーツ用品に使われる複合材料の主な製法は「内圧成形」、「シートワインディング(SW)製法」であり、これらは手作業により成形している。スポーツ用品の中でゴルフシャフトは複合材料の代表的な製品であり、それらの殆どはSW製法である。SW製法が労働集約的な製法であるのに対し、組物複合材料は機械化・自動化が可能な製法であり、かつ、長手方向に配向する中央糸と組糸による3軸構造で設計自由度が高いことが特長である。しかし、組物複合材料の設計は、内部構造を決定するパラメータ、繊維束断面形状、繊維束断面積、繊維束間距離、繊維配向角度が相互に影響し変化するために難しく、さらに、シャフトのような製品表面の平滑性が必要な場合は組糸の交差により発生する複合材料表面の凹凸を研磨する必要がある。その問題を解決するため、まず熱硬化製樹脂組物複合材料において、クリンプ構造および研磨量が力学的特性に及ぼす影響について検討した。次に、内部構造予測手法を確立し、ゴルフシャフトの厚さ設計、曲げ剛性設計に適用できることが明らかにした。さらに、生産の自動化、短サイクル化の可能性を有する熱可塑性樹脂組物複合材料において、熱硬化性樹脂複合材料において確立した内部構造予測手法が適用できるか検討した。本論文では全8章で構成されており、以下にその内容を示す。 第1章では、本研究の背景とその必要性を述べ、本研究を行うに至った経緯を述べた。 第2章では、組物複合材料パイプの中央糸の割合および組糸のクリンプ構造が力学的特性に及ぼす影響について検討した。クリンプ角度を変化させた組物複合材料のパイプを作製し、4点曲げ試験およびねじり試験を行った。曲げ強度に関しては組糸のクリンプ角度の影響は見られず、組物パイプの強度低下は中央糸のうねりに起因していることが分かった。ここでは、組糸の構造上形成される上下方向の蛇行に関してはクリンプと称し、構造上直線的に配向している中央糸が組糸構造の影響を受け蛇行したものをうねりと称している。ねじり特性に関しては、せん断強度はクリンプ角度の増加に対し、せん断弾性率の2.5倍の影響を受けることを明らかにした。 第3章では、研磨量が組物複合材料の曲げ特性、横圧縮特性、ねじり特性に及ぼす影響を明らかにした。最外層の研磨量を最大50%程度とした試験片において、曲げ強度は層内の中央糸の破壊に起因し、研磨の影響は低いことが明らかになった。横圧縮強度においては、曲げ応力とせん断応力の関係が変化するため、結果として研磨により横圧縮強度が増加することが明らかになった。また、ねじり試験については、表層の組糸の厚さが研磨により薄くなり、その部分から圧縮による座屈破壊が発生、研磨量が増加することによりせん断強度が下がることが明らかになった。 第4章では、ゴルフシャフト特有の評価手法である片持ち曲げ試験において、研磨量の影響を明らかにした。最外層の組角度をより長さ方向にした組物複合材料シャフトの片持ち曲げ試験においては、研磨量の増加により曲げ強度が低下する傾向であった。それは、最外層の連続した組糸の厚さが研磨により薄くなり、繊維束が破断し、最外層の組糸周りのはく離が発生したためである。 第5章では、熱硬化性樹脂組物複合材料における内部構造予測法の確立を目指した。テーパー状の1層の組物を設計、作製し、予測値と比較を行った。中央糸の有無による厚さ係数を求め、周期的に変化する厚さ係数を求めることにより正確な剛性予測可能であることを明らかにした。 第6章では、熱可塑性樹脂組物複合材料を対象とし、成形時間に対する樹脂の含浸メカニズムと内部構造の変化を検討した。2種類の中間材料を使用し、加圧加熱プレス製法によって試験片を作製した。その結果、熱硬化性樹脂複合材料において確立した内部構造予測手法が熱可塑性樹脂組物複合材料にも適用可能であることが示唆された。 第7章では、熱可塑性樹脂組物複合材料の引抜成形法における含浸メカニズムと内部構造の変化を検討した。その結果、第6章で提案した熱可塑樹脂組物複合材料の内部構造予測手法が異なった成形方法においても適用可能であることが明らかになった。 第8章では、本研究で得られた知見をまとめた。
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