紀要論文 会計監査人の独立性の限界とその解決策についての一考察
A Study on Limitation of Independency of Accounting Auditors and its Solutions

高田, 寛

62 ( 2 )  , pp.395 - 425 , 2016-12 , 富山大学経済学部
ISSN:0286-3642
NII書誌ID(NCID):AN00408391
内容記述
外部監査人である会計監査人の独立性については,以前から議論されて来たところではあるが,特に,公認会計士協会は,「独立性に関する指針」(以下「独立性指針」という。),「監査人の独立性チェックリスト」,「監査法人監査における監査人の独立性チェックリスト」,「監査人の独立性について」,などを公表してきた。しかし,これら一連の指針や資料の公表にもかかわらず,2011年,オリンパス株式会社(以下「オリンパス」という。)の粉飾決算事件が発覚し,さらに,2015年,株式会社東芝(以下「東芝」という。)の不正会計処理事件などの大型粉飾決算・不正会計処理事件が相次いで発覚した。いずれも,わが国を代表する監査法人が担当してきただけに,その社会的影響は大きい。これらの事件により,会計監査人の独立性の在り方が再度議論の対象となっている。特に,東芝の会計監査法人であった新日本有限責任監査法人(以下「新日本監査法人」という。)は,前身の太田昭和監査法人などの事務所時代を含めると1951年から約60年に亘り,東芝の会計監査人として会計監査を担当してきたが,東芝の不正会計処理事件を回避することができなかった。そのため,その監査能力の問題とともに,会計監査人としての独立性を保持することができなかったのではないかとの疑問がもたれている。新日本監査法人が東芝の説明や資料を十分に検証せず,緊張感を欠く不十分な監査によって不正会計処理を見逃し,東芝の不正会計処理を見抜くことができなかったため,金融庁は,会計監査人の独立性の確保の一貫として,監査法人の定期的な交代(ローテーション)を制度として導入できないか検討することとなった。そのような中,東芝は自主的に,決算書類のチェックなど監査業務を行う監査法人を,複数年度で定期的に交代させる制度の導入を決定した。監査法人の独立性の問題は,わが国に限ったことではない。2001年のエンロン事件,2002年のワールドコム事件等を背景に,2000年代から欧米各国で議論されてきた。この背景には,多くの企業の粉飾決算や破たんがあったにも拘わらず,監査法人が直前までこれらの企業の財務諸表に対して適正意見を出してきたという経緯がある。この結果,監査法人の信頼性が大きく損なわれ,かつ独立性の保持が問われることとなった。本稿では,ナナホシ事件を例に会計監査人の責任を明確にし,現行法制および各種指針等を検証することにより,会計監査人,特に監査法人の独立性の限界を再度検証し,独立性を担保するための制度について,実務的な観点から検討を行いたい。
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