Departmental Bulletin Paper 家庭という「戦場」 : ダニー・デヴィートの『ローズ家の戦争』を観る
The Home as a "Battlefield" : Danny DeVito's The War of the Roses

藤田, 秀樹

65pp.149 - 164 , 2016-08-22 , 富山大学人文学部
ISSN:03865975
NCID:AN00175930
Description
ロナルド・レーガン政権下の1980 年代アメリカにおいては,「家族の価値」と呼ばれるものが一種の政治的,社会的,文化的,そして道徳的スローガンとなっていた。本論では,1989 年に発表されたダニー・デヴィートの監督作品『ローズ家の戦争』(The War of the Roses) を「家族の物語」として観ていくことにする。まず我々の目を引くのはこのタイトルであろう。歴史的な出来事としての「薔薇戦争」(Wars of the Roses, 1455-1485) に掛けたものであろうが,「戦争」というおだやかならざる語句が,不穏で不吉な物語の展開を予感させる。戦いはもっぱら夫と妻の間で交わされるので,タイトルは「ローズ夫妻の戦争」とも訳しうる。『ローズ家の戦争』の「戦争」は,様々な策謀やいやがらせで相手を挑発し苛立たせる神経戦を経て,最終的に家庭を戦場として,食器や家具調度品を武器として用いる文字通りの暴力的な白兵戦に発展する。そしてその「戦争」は,夫婦の「戦死」とともに幕を閉じる。不穏なタイトルといい,家族間の亀裂や憎悪や争闘によって駆動される物語展開といい,『ローズ家の戦争』は同時代の公的スローガンである「家族の価値」に冷水を浴びせるような物語であり,その点で,家族をめぐる1980 年代の多様な映画的語りの系譜に連なる作品であると言えよう。以下,これらのことを念頭に置きつつ,この映画を仔細に検討していくことにする。
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