Thesis or Dissertation グローバル時代の対話型授業の研究

多田, 孝志

2016-06-07
Description
本研究論文は、グローバル時代の人間形成における対話型授業の有効性に着目し、対話の概念や対話型授業の特質を明らかにするとともに、学校全体で対話型授業の実践に取り組む学校の実践研究を調査・分析・考察し、その成果を検証することを通して、理論研究と実践研究の融合による対話型授業の授業理論を提示した論文である。本研究の結果、次の5点が明らかになった。 (1)グローバル時代の人間形成には、多様性・関係性・自己変革性・主体性・感性などの資質・能力とともに対話力が重要であること。 (2)「対話」に関する多様な言説、対話型授業に関わるさまざまな学習論の考察などの理論研究から、対話型授業の定義がなされ、要件が抽出できること。 (3)長期にわたり、学校全体で対話型授業に取り組んだ実践研究について、調査・分析・考察することにより、対話型授業の多様な実践知が紡ぎ出され、要件が析出されること。 (4)理論研究と実践研究から導き出された要件を統合・整理することにより、対話型授業の要件が 確立できること。その要件の有効性・妥当性が検証授業により確認されたこと。 (5)理論研究と実践研究の融合によってこそ、グローバル時代の人間形成を希求する対話型授業の授業理論が構想できること。 序章および5章、終章からなる構成とする。各章の概要は次の通りである。序章では、問題の所在、研究の目的と意義、研究方法及び構成について記した。問題の所在、研究目的を記述、さらに対話型授業に関する先行研究を検討し、そこから本研究の意義を導き出し、研究の位置づけをした。なお、第1章~第3章は、理論研究、第4章は、実践研究、第5章は、理論研究と実践研究とを融合させた本論文の成果の集約の章と区分している。 第1章では、第二次世界大戦後のグローバル時代の人間形成に関わる論考を考察・分析し、そこから導き出された基本的な考え方を活用し、グローバル時代の人間形成を定義した。さらに新たな教育の潮流としての持続可能な開発のための教育、21世紀型能力に関する答申や報告書を分析し、整理し、先行研究の考察結果と融合させ、そこからグローバル時代の人間形成の要件を析出した。 第2章では、ブーバー(Martin Buber1878-1965)、ピカード(Max Picard)、ボルノー(Otto Friedrich Bollnow)、バフチン(Mikhail Mikhailovich Bakhtin)、フレイレ(Paulo Regulus Neves Freire)などの人間形成と対話との関わりについての先行研究を分析し、整理した。次に、グローバル時代の対話に関する先行研究を考察し、これまでの研究の経緯を把握した。 これらの作業の上に、本論考における対話の概念を検討し、対話の形態・機能・類型・基礎力を示した。次いで、グローバル時代の対話の特色について検討した。 第3章では、本論の基底をなす「グローバル時代の対話型授業」に関わる学習理論について分析・整理した。まず、多様な学習方法を協同、構成主義、持続可能、21世紀型能力の四原理から分析した。これらの分析をもとに、対話型授業の理論上・実践上の特質について考察を加えた。また多重知能理論、システム論、複雑性の科学、統合の思想、批判的思考を考察し、対話を拡大・深化させていくための理論的背景を探究した。これらの作業の上に、対話型授業の定義をし、構成要件を抽出した。 第4章では、実践研究として、調査対象とした4校の対話型授業への取り組みを調査・分析・検討した。信頼性を確保するため、研究紀要・授業記録・研究協議会記録などの文献研究とともに、複数の調査者による観察・面談等をなし、調査・分析した。これらのことにより、理論研究と実践研究の融合・往還の有用性、研究推進の組織体制の進捗性や開放性などが、実践研究の推進に重要であることが把握できた。また、第3章までの理論研究から析出した要件を視点として、調査対象校の実践研究を分析し「グローバル時代の対話型授業」の現状と課題を明らかにした。また、理論研究から析出した要件に加える、実践研究から導き出される「グローバル時代の対話型授業」の要件を整理した。 第5章では、グローバル時代の人間形成を希求する対話型授業を提唱した。まず、理論研究及び実践研究から導き出された「グローバル時代の対話型授業」の要件を統合し整理し12要件に集約した。この12の要件の妥当性・有効性を検証するため、新たな研究協力校で検証授業を行った。結果の分析・考察による、妥当性・有効性が確認できた。これらの作業の上に、グローバル時代の人間形成を希求する対話型授業の学習理論を提示した。 終章では、グローバル時代の人間形成を希求する対話型授業の意義を再考察し、研究のまとめとした。最後に、今後の研究の課題を整理した。
梅野 正信、越 良子、安藤 知子、林 泰成、西村 公孝
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