学術雑誌論文 私的カフェ論その4

伊藤, 眞

60 ( 2 )  , pp.15 - 38 , 2017-6 , 慶應義塾大学出版会
ISSN:0544571X
内容記述
論文
大きな変化 があったとき, 人間はそれをストレスとして受け止める。ストレスは仕事とプライベートの両方で発生し, 合算したボリュームが大きくなったときに, 命にかかわるような危機として迫ってくる。ストレスはある条件が重なると, 命を奪う病の原因へと形を変えていく。これをNHKスペシャル取材班は「キラーストレス」と名付け, その正体を追った。ストレスによって引き起こされる反応は, 私たちが進化の過程で獲得してきた「身を守る仕組み」である。数万年前, どう猛な動物に出会ったとき, 命がけで闘うか, 必死で逃げるしかない。このとき, 人間の体は心拍数が増え, 血圧が上がり, 闘う体勢, 逃げる体勢の双方が瞬時に準備される。現在においても, 天敵相手に働いていた恐怖や不安を感じると反応する仕組みが体の中に残っていて, 精神的な重圧を感じたときに, その仕組みが働くようになった。継続的もしくは慢性的に継続するストレス反応は, この仕組みを暴走させてしまう。ストレスは「頑張るストレス」と「我慢するストレス」の2つに分けられ, 継続する「頑張るストレス」では主に「体」のストレス反応(アドレナリンなどが絶え間なく過剰分泌されると血圧の上昇につながる。血圧の高い人の血管は, キラーストレスにより, 血圧の上昇に耐えられなくなるため破裂に至り, 脳出血を発症する, または高い圧力が血管の壁に加わるため動脈硬化が進行し心不全を発症する)が強くなり, 慢性的な「我慢するストレス」では, 主に「心」のストレス反応(脳内に溢れたコルチゾール(副腎から分泌)によって海馬の神経細胞が蝕まれ, 突起が減少する。すなわち, 物理的に蝕まれる。海馬の異常がさらに進むと鬱病のような症状が出てくる可能性がある)が強くなる。慢性的または絶え間ないストレスに, 長時間労働や睡眠不足が加わると, このメカニズムはさらに推し進められ, 死に至る。キラーストレスのテキストに基づき, マック, 大庄, ワタミ, そして電通の過労死事例について, ストレス要因と死に至るメカニズムを分析する。

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