学術雑誌論文 減損会計再論(4)

笠井, 昭次

58 ( 3 )  , pp.1 - 17 , 2015-8 , 慶應義塾大学出版会
ISSN:0544571X
内容記述
論文
本稿では, 満期保有目的金融資産に関するいわゆる減損について, キャッチアップ方式・プロスペクティブ方式の妥当性について具体的に検討する。まずキャッチアップ方式を(3)で取り上げるが, 結論的には, ①損益計算に関して, 将来のキャッシュフローの減少が判明した時点以降において, 当初と同じ利子率による受取利息額を獲得できることの根拠が, 欠如していること, ②資産評価に関して, 将来のキャッシュフローの減少が判明した時点において, 満期保有目的金融資産が当初利子率に基づく割引現在価値で評価されることの根拠が, 欠如していること, そして, ③減損の仕訳に関して, 将来のキャッシュフローの減少が判明した時点において, その仕訳が計上されることの根拠が, 欠如していること, といった理由により, キャッチアップ方式は, 理論的に成立しないと筆者は考えている。それに対して, プロスペクティブ方式に関しては, ①不良債権と正常債権との整合性が欠如していること, および②貸し手による損失回避行動の可能性(利益操作の可能性)があることといった批判があるが, それらは, いずれも, 理論的に妥当ではないと筆者は考えている。なお, さらに, [改定償還額<改定時点の簿価]のさいには, プロスペクティブ方式では, 一般に, 評価損失が計上されるとみなされているので, ③評価損失計上と損益計算との整合性が問われなければならない。しかしこの点については, 評価損失を計上すること自体が, プロスペクティブ方式のそもそもの基本的発想に悖っていると筆者は考えているので, この批判も当たらないというのが, 筆者の結論である。
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