Journal Article 企業の競争戦略と垂直境界 : 取引コスト理論分析

橋本, 倫明

58 ( 2 )  , pp.169 - 177 , 2015-6 , 慶應義塾大学出版会
ISSN:0544571X
Description
渡部直樹教授退任記念号#論文
O. E. Williamsonによって展開された取引コスト理論は, 市場と企業組織を代替的なガバナンス制度とみなすことで, 企業境界, とりわけ垂直的な境界の理論の発展に大きな貢献をしてきた。しかし, 近年の諸研究は, 取引コスト理論が必ずしも十分でないことを指摘し, 様々な企業個別の要因を取引コスト理論に組み入れることで, 企業境界の理論を発展させようとしている。企業個別の要因を考慮した場合に企業境界, とりわけ垂直境界はどのように決定されるのか。この問題に答えるために, 本稿では, 「低コスト」次元と「差別化」次元という戦略次元の概念を取引コスト理論に組み入れることで, 企業の競争戦略がその垂直境界に与える影響を明らかにする。具体的には, 戦略次元の強調の程度を高める競争戦略を採用する企業では, 関連する取引の資産特殊性が高くなり, そこで発生する取引コストを節約するために, その垂直境界を拡張する可能性があることを理論的に論証した。そして, 日本の上場製造企業を対象とした経験的テストを通じて, 同様のことが経験的にも誤りとはいえないことを示した。本稿の貢献として, 第1に, 取引コスト理論に基づいて, 企業の競争戦略とその垂直境界の関係を明らかにしたことで, 垂直統合や企業境界の理論の発展に寄与する可能性がある。第2に, 取引コストマネジメントの観点から, 経営者は, 自社の競争戦略に応じて取引コストを適切に節約するように垂直境界を決定すべきという実務的な示唆も得られた。
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