紀要論文 病院内での道順探索 : 健常者および高次脳機能障害者における検討
Navigating Around a Aospital : the Behavior of Healthy Volunteers and Patients with Cognitive Impairment
ビョウインナイ デノ ミチジュン タンサク : ケンジョウシャ オヨビ コウジ ノウ キノウ ショウガイシャ ニ オケル ケントウ

伊関, 千書  ,  須藤, 雪乃  ,  宮島, 美佳  ,  伊藤, さゆり  ,  林, 思音  ,  鈴木, 匡子

内容記述
【背景】見慣れない場所で目的地に達するためには、周囲の表示などを活用し、方略を立てて歩く必要がある。目的地に無事着くことができるかどうかは、個体側の機能の要因と、案内表示を含めた環境の要因で決まる。【目的】実際の現場での道順探索障害について、患者側の機能障害の要因と環境の要因を総合的に捉えて、それぞれの問題点を明らかにすることを目的とした。【方法】20-25歳の健常ボランティア7名(女性4名)と50-80歳代の高次脳機能障害患者9名(女性5名)を対象に、山形大学医学部附属病院で病院正面玄関から10階東病棟スタッフステーションまたはMRI検査室へ、表示などを手がかりに道順を探索させた。患者は高次脳機能障害として視空間認知障害、健忘、前頭葉症状を呈していた。健常者ではアイカメラで道順探索中の視線を記録し、どの表示を活用しているかを解析した。健常者では歩行距離を測定し、患者では後ろについた検者が行動観察をした。課題施行直後に、迷った場所等について質問を行った。【結果】健常者では、最短経路で目的地まで到達できるか否かを決定したのは、主に重要な分岐地点での探索行動であった。分岐地点において吊り看板や柱表示への視線停留時間が長い被験者は最短経路で到達できていた。患者群では全員が最短距離で行けず、高次脳機能障害や環境要因を反映した障害が見られた。高次脳機能障害としては前頭葉機能障害を反映した行動による道迷いが多く見られ、環境要因としては、表示の位置、見やすさ、内容などの不適切さの影響が健常者より強くみられた。障害への病識がないのも特徴的だった。【結論】道順探索を容易にするためには、環境要因としては案内表示の見直しが、高次脳機能障害に対しては症状に合わせて、表示以外の支援も必要と考えられた。高次脳機能障害を環境との相互作用で捉えることで、より複雑な病態を観察できることが示唆された。
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