Technical Report 賃金構造基本統計調査に対するデータリンケージの可能性について

村田, 磨理子  ,  伊藤, 伸介

2015-12 , Institute of Economic Research, Hitotsubashi University
NCID:AA11476336
Description
本稿は、企業の業績や財務内容が雇用や賃金に及ぼす影響についての実証分析を目指して、異なる統計調査の調査票情報の統合とパネルデータ化の検証を試みたものである。本稿では、最初に、賃金構造基本統計調査について、共通の事業所番号を用いて複数の調査年をリンケージしたパネルデータを作成するだけでなく、共通の事業所番号に基づいて厚生労働省の賃金構造基本統計調査と経済産業省企業活動基本調査をリンケージしたデータの作成を行った。さらに、名称・住所等を利用した賃金構造基本統計調査と法人企業統計調査の名寄せによる完全照合だけでなく、企業規模等の属性を用いた統計的照合を行い、比較・検証を行った。最後に、賃金構造基本統計調査に基づくリンケージデータの可能性を述べた。賃金構造基本統計調査の調査票情報は、2種類の調査票(事業所票と個人票)に対応した2つのファイルから構成される。同一の調査年の事業所票と個人票は、都道府県番号と事業所一連番号によって照合可能である。しかしながら、事業所一連番号は、調査年ごとに改めて設定されるため、同じ事業所であっても、調査年によって一連番号は異なる。同様に、労働者の一連番号も、調査年ごとに改めて設定されている。なお、事業所の名称及び所在地、労働者の氏名は、調査票情報(以下、個票データと呼称)には収録されていない。異なる調査年の個票データを照合するために、母集団(抽出枠)である事業所・企業統計調査または経済センサスの事業所番号を利用することができる。ただし、抽出枠は数年おきに切り替わり、抽出枠が同じ場合は、同一の事業所番号によって、直接リンケージを行うことが可能であるが、抽出枠の切り替えの前後の年次においてリンケージを行う場合には、新旧事業所番号の対応情報も併せて必要になる。本稿では、抽出枠が平成18年事業所・企業統計調査及び平成21年経済センサス基礎調査に対応する期間をリンケージしたパネルデータの作成について述べている。賃金構造基本統計調査では、複数年をリンケージできた事業所に関しては、企業規模が大きい事業所が比較的多くなる等の特徴が見られる。なお、賃金構造基本統計調査の調査票情報は、抽出枠である事業所・企業統計調査及び経済センサス基礎調査と事業所番号によってリンケージされることから、これらの調査結果も併せて利用することができる。したがって、賃金構造基本統計調査の個票データにない項目として、例えば、資本金額、本所・支所の別、本所や親会社に関する情報を得ることが可能である。次に、企業の収益や財務内容等の企業属性を得るため、本稿では、企業活動基本調査及び法人企業統計調査を利用して、リンケージの可能性について検証を行った。企業活動基本調査は、独自の永久企業番号を保持していることと、平成23年以降の個票データに経済センサスの事業所番号が収録されていることから、前述の賃金構造基本統計調査との間でリンケージすることが比較的容易である。ただし、両調査の対象の範囲(産業、規模)に違いがあることから、リンケージできた事業所(企業)は企業活動基本調査の1割程度とあまり多くない。さらに、調査単位に関して事業所と企業という違いがあるため、例えば、複数事業所からなる企業の場合、1つの事業所(賃金構造基本統計調査)と企業全体(企業活動基本調査)がリンケージされることに注意した上で、リンケージされたデータを利用する必要がある。一方、法人企業統計調査は、経済センサスの事業所番号のような共通の識別番号を持たないため、名称・住所・電話番号等による名寄せによって、賃金構造基本統計調査との間で完全照合を行った。統計的照合では、「本社所在地」、「業種」、「規模」の3つの共通項目を使用しており、名寄せによる完全照合と比較して、正解率を確認した。その結果、企業規模が大きいほど正解率が高くなること、産業大分類別にみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「金融業,保険業」はほぼ半数が正解だが、「宿泊業,飲食サービス業」など4業種はすべて不正解であることなどが明らかになった。
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http://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/bitstream/10086/27666/1/DP631.pdf

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