テクニカルレポート 保育所整備は母親の就業率をなぜ押し上げなかったのか

朝井, 友紀子  ,  神林, 龍  ,  山口, 慎太郎

2015-11 , Institute of Economic Research, Hitotsubashi University
NII書誌ID(NCID):AA11476336
内容記述
労働市場政策としての保育所の整備は、母親の就業率を増加させる有力な手段とされてきた。たとえば、福井県では保育所の整備が特に進んでおり母親の就業率が高いことから、他県においても、保育所の整備を進めれば母親の就業率が上昇するといった議論がなされてきた。しかし、女性の就業に対する価値観や、女性の就業意欲自体も地域差が大きく、こうしたデータに現れにくい要因が保育所の整備と母親の就業の双方に影響を与えている可能性がある。従って、保育所の整備が母親の就業を押し上げるといった因果関係の存在は必ずしも明らかではない。本稿では、価値観や就業意欲といった観測されない要因の影響を避けるため、都道府県間の比較ではなく、都道府県内の変化に着目した。1990年から2010年までの国勢調査の公表数表を用いて、都道府県内の保育所定員率の変化が母親の就業率の変化に与える影響を考察した結果、平均的には、保育所定員率の上昇は母親の就業率に影響を与えていないことがわかった。これは、保育所の整備が進むことにより、三世代同居で見られる祖父母による保育が、保育所による保育に置き換わったためである。三世代同居比率が13.5%にまで低下した現在、保育所の整備が祖父母による保育を代替し続けるとは考えにくく、母親の就業率を上昇させる有力な手段である可能性は高いが、その効果を考察するうえでは私的保育手段との代替関係があることを明確に意識するべきだろう。
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http://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/bitstream/10086/27565/1/DP630.pdf

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