紀要論文 大災害犠牲者の記録を残す活動の社会的意義に関する研究―岩手県大槌町「生きた証プロジェクト」を事例として―
The Social Significance of Producing Record Documents of Disaster Victims-A "living proof" case study in Otsuchi-cho, Iwate

麦倉, 哲  ,  MUGIKURA, Tetsu

75pp.31 - 47 , 2016-03-01 , 岩手大学教育学部
ISSN:0367-7370
NII書誌ID(NCID):AN00017940
内容記述
 本論の目的は、岩手県大槌町の「生きた証プロジェクト」の到達点ならびに社会的意義について検討するものである。筆者は大災害による犠牲死者について、慰霊・鎮魂の各種式典や、被災の検証作業、そして記録に残そうという取り組みについて、関心を持ってきた。これまで、①仮設住宅入居者調査において「慰霊・鎮魂」を通じたまちづくりについて質問したのも、また②吉里吉里地区の自主防災計画の策定の中で「犠牲となった方がたのことを考えて防災に活かす」という段階を踏んだのも、その延長線にこうしたテーマへのこだわりがあるからである。それゆえ、生きた証をのこそう(残そう、遺そう)という取り組みは、筆者自身が2011年の発災後から個人的に取り組んできたテーマである。のこそうとは、単に一般に記録を「残そう」であり、また意図して後世に託すという意味を込めて「遺そう」でもある。 ところで、このテーマは大槌町の中においても、多様な主体によって取り組まれてきたものでもある。大槌町内では町のプロジェクトとして「生きた証プロジェクト」を実行する準備が進められてきた。大槌町議会では、この案件が議題となった当初の2013年10月には賛否が分かれたものの、2014年3月には取り組みの予算が承認され、同年3月末に、生きた証プロジェクト実行委員会準備会が発足し、筆者も準備委員会委員として委嘱された。 そこで、①生きた証を残すプロジェクトがどのような経過を経たのか、②このテーマについて大槌町民のどのような期待が込められているのか、③町外から入ってきてこのテーマに関心を注ぐ人たちは何に焦点を当てているのか、さらに、たぐいまれなこのプロジェクトが地域社会の取り組みとしてどのような到達点を目指しているのかを検討したい。また、筆者自身の取り組みにより大槌町内で得られた各種データから、この地域文化の特性を明らかにし、「弔い」「死者との対話」「検証―防災」などの主に3つの面から解釈し論述したい。
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