学術雑誌論文 埋められた希望 : シュテファン・ツヴァイクのユダヤ伝説における故郷喪失とシオニズム
Die begrabene Hoffnung : Heimatverlust und Zionismus bei der jüdischen Legende Stefan Zweigs

杉山, 有紀子

81pp.193 - 212 , 2015-09-01 , 東京大学大学院ドイツ語ドイツ文学研究会 , Germanistenverband der Universität Tokyo , 東京大学大学院人文社会系研究科
ISSN:09120042
NII書誌ID(NCID):AN00339493
内容記述
シュテファン・ツヴァイクの小説『埋められた燭台』(1937)は亡命下で書かれたユダヤ伝説である。史実ではローマからコンスタンティノープルに運ばれた後消滅したユダヤ教の聖なる燭台が、ツヴァイクの物語では老人ベンヤミンによって地に埋められ(begraben)救い出される。著者自身の体験を踏まえてユダヤ人の故郷喪失が主題化されていることは疑いないが、燭台の救済のプロセスはシオニズム的理想、すなわち地上的な「故郷」の建設よりも、帰郷の理想が物質性から解放され、内面化されることを示している。そこにはユダヤ人の流浪の運命の内にナショナリズムからの自由を見出したツヴァイクの思想が表出している。彼は燭台救済の物語によって苦難の内にある同胞に希望を与えたが、彼自身の内でその希望は既に葬られて(begraben)いたのであった。
本文を読む

http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/bitstream/2261/59538/1/Si_gengo_81_193-212.pdf

このアイテムのアクセス数:  回

その他の情報