紀要論文 Post-war Modem History Education, Politics, and Teachers' Lesson Plans in Japan : Focusing on reports about teaching war in the journal Rekishi Chiri Kyōiku <Article>
戦後日本における歴史教育を取り巻く政治的事象と歴史授業との関連の考察 : 『歴史地理教育』誌の戦争を扱う実践を中心に <論文>

Dunbar, Yumi

(4)  , pp.41 - 52 , 2016-03-31 , 広島大学大学院教育学研究科初等カリキュラム開発講座
ISSN:2187-6800
NII書誌ID(NCID):AA12611299
内容記述
歴史教育はグローパルな課題である。歴史教育は歴史認識を育み,集合的記憶を共有する国民を育成するツールになり得る。歴史認識は人々が現在の社会を歴史的文脈の中で理解するのに役立ち,将来の決断にも影響を及ぼす。共通の歴史認識の構築は戦後のヨーロッパに平和的貢献をもたらしたが,東アジアでは,共通の歴史認識が欠落しているゆえに,戦後の日本の近代史教育のあり方が近隣諸国との衝突を引き起こしているのである。1947年の社会科の設立以来,日本の社会科は冷戦という新たな国際社会の枠組みの中で発展した。敗戦直後は天皇を中心とする帝国主義的な歴史観とイデオロギーの抑圧に力を尽くしてきた連合国軍最高司令官総司令部も,冷戦による緊張感の高まりによって政策に方向転換を迫られることになる。そのような国際情勢は,戦後に再建された日本の政治体制,教育行政に,ある一定の保守的な要素を残すこととなった。一方で,教育学者,教師などをはじめとする人々は,先の戦争の反省の上に構築された新しい科目,“社会科”に多大なる期待をよせ,その発展に寄与してきた。本稿は,その中でも歴史教育者協議会(歴教協)を保守勢力に対峠する存在として挙げ,地域に根ざす社会科,楽しく・わかる社会科,子どもが動く社会科,被害・加害・抵抗をキーとする戦争学習などの様々な授業論の発展に注目しながら,戦後の歴史教育を概観する。さらに,2010年から2014年の5年間に『歴史地理教育』に掲載された,小学校・中学校における戦争を扱う授業実践をカテゴリー別に分類し,分析する。分析の要点は,次のようなものである。戦争を扱う授業実践は,小学校及び、中学校においても,戦時下の日本人の暮らしをテーマとするものが多い。さらに小学校では,子どもたちが住む地域の歴史と、戦時下の人々の暮らしを連結させた授業が多く見られた。中学校でも戦時下の日本人を扱った授業は多いが,中学校レベルでは,日本軍によるアジアでの加害や,沖縄戦など,発達段階に適した複雑なテーマを扱う授業が比較的多く見られた。日本では,第二次世界大戦や太平洋戦争について様々な解釈が存在していることを踏まえた上で,日本の近代史教育についても,多角的に検討することの重要性を確認して本稿の結びとした。
This article examines modem Japanese history education, with a particular focus on the history of the wars involving Japan from the 1930's until the end of World War Two. The field of Social Studies was introduced to Japan in 1947 and was heavily influenced by the politics of the Cold War era. How Japanese people have interpreted the war has come to have a special meaning to people in East Asia, and history classes in schools are an important tool in cultivating Japanese people's historical consciousness, however the content of these classes has not been well received by the international community. This article examines how Social Studies was initially established and then transformed after the Second World War, and introduces the Rekishi Kyōikusha Kyōgikai (History Educationalist Conference of Japan, hereafter Rekkyōkyō) and its work to counter conservative politicians' influence over history education, including an examination of how the association's members teach about the war.
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http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/39405/20160329114800193151/JEEC_4_41.pdf

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