紀要論文 <講義ノート>「モノとヒトの多様性」--強相関系有機導体の化学と物理から--(第62回物性若手夏の学校 集中ゼミ)

森, 初果

6 ( 4 )  , p.[1] , 2017-11 , 物性研究・電子版 編集委員会
内容記述
第62回物性若手夏の学校 集中ゼミ
本稿では、ダイバーシティ(多様性)をキーワードとして、モノとヒトに焦点を当てて考えてみたい。まずモノの多様性であるが、電子の波動性と粒子性が拮抗することで多彩な電子物性を与える強相関電子系は、d電子系の遷移金属酸化物、f電子系の金属間化合物とともに、π電子系有機導体の研究が精力的に行われている。有機伝導体の特徴は、分子が単位であるため、分子軌道のハミルトニアン自体を設計して合成することができ、分子の内部自由度に無限の可能性を秘めていることである。また、分子は柔らかく、かつ異方的な形状をしているので、分子が集積した有機結晶の電子物性も低次元性を有し、さらに小さな外場(電場、磁場、光、圧力)で大きな応答を示すところが興味深い。従来、絶縁体材料であった有機物が、フェルミ面を持つ金属である低次元性導体となり、さらには、電子がひしめく強相関電子系の仲間入りをし、圧力をパラメータとして、モット絶縁体あるいは電荷秩序絶縁体から、超伝導、金属へ劇的に変化する振る舞いを紹介する。また、最近の有機結晶のトピックスとして、有機伝導体を舞台とした非線形科学として、非線形伝導を、また分子の多様性を利用した新たな機能性として、水素結合プロトンのダイナミクスと協奏する新たな強相関電子物性を紹介したい。さらに、モノに加えてヒトのダイバーシティ(多様性)であるが、米国、日本でどのように多様性の概念が発展してきて、社会的影響を与えているのかを概観する。そして、サイエンスの発展、サイエンスに携わる人の活躍に必要な、ダイバーシティ(多様性)のある分野、組織を実現するための課題を考えてみたい。
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