Departmental Bulletin Paper <講義ノート>スピンアイスとスピン液体 --氷に隠れた無秩序と秩序--(第62回物性若手夏の学校 集中ゼミ)

宇田川, 将文

6 ( 4 )  , p.[1] , 2017-11 , 物性研究・電子版 編集委員会
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第62回物性若手夏の学校 集中ゼミ
1982年の分数量子ホール効果の発見はマクロな物質の状態に対する我々の理解を大きく変える契機となった。分数量子ホール状態、あるいはその一種の類似物であるスピン液体の性質の一端が「氷」を通して理解できるとなれば驚くだろうか? 氷は言うまでもなく、我々の最も身近に存在する物質の一つである。しかしながら、我々はその身近な氷の性質をどれ程理解しているだろう? 熱力学第三法則は物理学の基礎法則の一つである。しかしながら、常圧の氷ではその基本法則が見かけ上、破れているようにすら見える。六回対称の雪の結晶形は誰もが目にしたことのある、自然の美しさの象徴であろう。しかし、その実、氷には温度や圧力に応じて実に17種類もの(凖)安定な結晶形態が存在する。氷はまた、金属とは程遠いバンド構造をもちながら、不思議なことに電気伝導性はそれほど悪くない。そして、その電流は電子ではなく、氷結晶中のイオン欠陥が担うのだ。このような氷の特異な性質はPaulingやOnsagerを始めとする、数多くの科学の巨人達を強く魅了して来た。この講義では、氷に良く似た性質をもつ奇妙な磁性体、スピンアイスを通じて、氷の奇妙な性質が、分数量子ホール状態やスピン液体を含むトポロジカル秩序相の理解にどのようにつながるかを紹介したい。ごく単純な理論模型の導入が物理現象に対する理解を一変させることがある。相転移、臨界現象においてイジング模型の果たした役割こそがその好例であろう。同様の意味で、スピンアイスはトポロジカル秩序相を理解するための「イジング模型」の役割を果たすのかもしれない。
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