Departmental Bulletin Paper <講義ノート>スピン流・熱流相互変換とスピントロニクスの展望(第62回物性若手夏の学校 集中ゼミ)

内田, 健一

6 ( 4 )  , p.[1] , 2017-11 , 物性研究・電子版 編集委員会
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第62回物性若手夏の学校 集中ゼミ
電子が有する電荷の自由度に加えてスピン角運動量の自由度も積極的に利用する新しい電子技術「スピントロニクス」が、基礎物理・工学応用の両面から盛んに研究されている。電子は電荷-eとスピンℏ/2 を持つ素粒子であるが、現在のエレクトロニクスは電子のこの二つの自由度のうち電荷のみを利用しており、スピン角運動量の自由度は殆ど利用されてこなかった。その最大の理由は、スピン情報は固体中ではスピン拡散長と呼ばれるマイクロメートル以下のスケールで消失してしまうことにある。しかし、現代のナノテクノロジーの進展により、スピンの自由度が顕在化するサブミクロンスケールの人工構造を自在に設計・作製することが可能になり、スピントロニクスの要素技術の開拓が急速に進展した。従来のエレクトロニクスが電流の制御に基づいて体系化されたように、スピントロニクスの発展にはスピン角運動量の流れ「スピン流」の生成・検出・制御技術の拡充が必須であり、世界的規模で新しいスピン流物性の開拓が行われている。近年、強磁性体と常磁性体の接合系において、スピン流に付随する様々な物理現象が発見・開拓されている。その例として、熱流によるスピン流生成現象「スピンゼーベック効果」が挙げられる。通常の熱電効果は導電体でのみ生じる現象であるが、2010年にはスピンゼーベック効果が磁性絶縁体においても発現することが明らかになった。我々はこれまで、スピンゼーベック効果の原理解明や、将来の熱電変換応用を目指した研究を進めてきた。本テキストでは、まずスピン流の概念や関連するスピントロニクス現象について概説する。その後、スピンゼーベック効果の測定メカニズムについて紹介し、現在の実験研究の状況まで展望する。最後に、スピンゼーベック効果の相反現象であるスピンペルチェ効果についても触れる。
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