紀要論文 <論文>ロングドレスのふるまい方 --ナミビア・ヘレロ社会における他者との接触と複数の相貌
Long Dress Performances: Contacts and Aspects among the Herero people of Namibia

香室, 結美

7pp.109 - 133 , 2015-03-31 , 京都大学大学院人間・環境学研究科 文化人類学分野
ISSN:2188-5974
NII書誌ID(NCID):AA12260795
内容記述
ナミビア共和国の牧畜民ヘレロは、20 世紀初頭にドイツ植民地軍による虐殺の対象となり、社会的絶滅状態に陥ったことで知られている。第一次世界大戦後、ヘレロが新たな社会を築く過程でヘレロ女性の民族・ジェンダーアイデンティティ形成と自己表象の要となったのが、ドイツ人移住者の衣服に由来するロングドレスであった。ロングドレスはこれまで、いかにヘレロが「敵」の様式を自分たちの生活に適合しながら新たな社会と集団的アイデンティティを構築してきたのかという、他者の模倣的ふるまいと自己成型に関する人類学的・歴史学的研究の対象になってきた。本稿では、ロングドレスがアイデンティティの表現であるだけではなく、ふるまいの技法でもあることに着目する。そして、ロングドレスのふるまいをヘレロ女性がいかに身につけてきたのかを現地調査と資料から明らかにすることから、現代世界においてヘレロ女性を着用に誘うロングドレスの魅力を検討する。本稿では、筆者が現地調査で観察した、ドイツ人移住者、家畜としての牛、個々のヘレロ女性、隣接集団ヒンバの女性との接触によって形成された、4 つの相貌に焦点を当てる。そして、ヘレロ女性がこれらの相貌に対応するふるまいをどのように体得してきたのかを描きたい。結論では、ロングドレスを着ることが、記念式典などの儀礼の場で祖先やチーフへの敬意と帰属を表すという文化的再生産の行為であるだけではなく、時代に合った素材やデザインとより美しい動作を追求する挑戦的行為であることを論じる。ロングドレスは、グローバルな世界と繋がった現代的感覚が身体化された衣服である。そして、ロングドレスを着こなすためのヘレロ女性による日々の鍛錬が、結果として、ヘレロの植民地経験の継承を可能にしているのである。
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http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/209807/1/ctz_7_109.pdf

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