紀要論文 4 肺癌外科治療の進歩(シンポジウム 肺癌治療の進歩, 第712回新潟医学会)
Progress in Surgical Treatment for Lung Cancer(Advances in the Treatment of Lung Cancer)

小池, 輝元  ,  Koike, Terumoto

130 ( 12 )  , pp.675 - 678 , 2016-12 , 新潟医学会
ISSN:0029-0440
NII書誌ID(NCID):AN00182415
内容記述
画像診断機器の進歩, 検診の普及などにより早期の小型肺癌症例は増加し, それに伴い肺癌手術例も年々増加している. 肺癌外科治療に関連し, 主に胸腔鏡補助下手術, 縮小手術について述べる. 胸腔鏡補助下手術(Video-assisted Thoracic Surgery, VATS)は, 内視鏡を胸腔内に挿入しモニターを見ながら行う胸部手術の総称で, 肺癌に対しても広く用いられている. 標準開胸手術と比しVATSは, 手術創が小さく美容面で優れ, また, 身体的な負担が少なく, 手術後疼痛の軽減, 合併症頻度の減少, 早期回復などの点で効果が期待できる. しかし, VATSでは, モニター視による立体把握が困難な点, 操作角度や器具の制限により, 進行癌症例や比較的難度の高い手術手技の遂行が困難な点などいくつか欠点があり, 現時点では, 癌の根治性, 安全性を優先した上で, アプローチ方法として標準開胸手術とVATSとの選択を行うように位置づけられている. 肺癌外科治療において, 腫瘍の存在する肺葉を切除する術式を肺葉切除, 1つあるいは数区域を切除するものを区域切除, 腫瘍の存在する部位のみを切除する術式を部分切除と呼んでおり, 区域切除と部分切除からなる縮小切除は肺切除範囲を減じ, 残存肺容量, 呼吸機能をより温存するための術式である. 現行のガイドラインにおいては肺癌の標準術式は肺葉切除であり, 種々の理由で肺葉切除が困難と考えられる患者に対しては縮小手術が許容される. また, 一部の早期小型肺癌症例では, 肺葉切除が可能な呼吸機能, 全身状態であっても肺葉切除と同等の治療効果を期待し積極的に縮小手術が選択されることもある. 現在, 日本および北米で小型肺癌症例に対する肺葉切除と縮小手術の大規模多施設ランダム化比較試験が進行中であり, 今後これらの試験の結果によっては, 一部の小型肺癌に対して縮小手術が標準治療となり得る. しかし, 胸腔鏡補助下手術はモニター上で肺内の腫瘍を視認することができず, また, 小切開創から手術を行うため, 肺深部の小型肺病変や, すりガラス陰影を主体とする病変の位置を手術中に同定するのが非常に困難である. したがって, いずれも低侵襲を目指したVATSと縮小手術の両立は困難であり, さらなる手技の習熟, 新たな手技, 機器の開発が望まれる.
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http://dspace.lib.niigata-u.ac.jp/dspace/bitstream/10191/47772/1/130(12)_675-678.pdf

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