Departmental Bulletin Paper 発生期の神経筋活動遮断時のポリグルタミン毒性について
Polyglutamine Pathogenesis in a Blockade of Neuromuscular Activity During Development Course for Biological Function and Medical Control

安戸, 方邦  ,  佐藤, 昇  ,  Yasudo, Masakuni  ,  Sato, Noboru

129 ( 12 )  , pp.719 - 727 , 2015-12 , 新潟医学会
ISSN:0029-0440
NCID:AN00182415
Description
脊髄運動ニューロンはその発生時に軸索先端を標的である筋原基に向かって伸長し, ほどなく標的筋と接触し初期のシナプスを形成する. この初期シナプス形成の後で運動ニューロンは「プログラムされた細胞死」を起こし, その約半数が失われる. この時期にアセチルコリン受容体の阻害剤であるcurareなどのd-tubocurarineの投与によって神経筋間の活動を遮断するとプログラムされたニューロン死が回避され, そのメカニズムについては長く不明であるが, 何らかの運動ニューロンの保護作用が知られている. ポリグルタミン(polyQ)病は, 遺伝性の神経変性疾患の一種であり, 各遺伝子中にあるグルタミンをコードするCAG反復配列の伸長によって引き起こされることが知られている. 神経毒性を引き起こす機序については不明な点も多いが, 一部にプログラムされた細胞死と同様の分子メカニズムが作用することが指摘されている. そこで神経筋活動の遮断が異常伸長polyQタンパク断片による運動ニューロン障害に影響を及ぼし得るか否かを検討するために, 神経毒性が知られるpolyQタンパク断片を導入し, その効果が神経筋活動の遮断により影響を受けるのかを検討した. 解剖学的及び実験発生学的に解析に有利な点が多いニワトリ胚の縫工筋とその支配ニューロンをモデルとし, in ovo electroporation法により孵卵開始3日目胚の神経管にGFP発現プラスミドを導入した. GFPを発現する腰髄前角の運動ニューロンを観察したところ, 細胞体は細胞死の後半の時期に当たる孵卵開始8日目から10日目には大きくなることが判明した. 同様の方法でMachado-Joseph病(脊髄小脳失調症III型)から単離されたataxin-3遺伝子のCAG配列の77回繰り返し遺伝子断片を発育鶏胚に導入し, ポリグルタミン蛋白断片を運動ニューロンに発現させると孵卵開始10日目~11日目の胚では対照と比して細胞体が小さくなることが観察されるが, curareを投与した胚でも同様に細胞体の変性が認められた. 従って神経筋活動の遮断によってポリグルタミンによる神経毒性は回避されないことが明らかになった. このことから, ポリグルタミンによる神経毒性と「プログラムされた細胞死」の神経障害メカニズムは異なっているものと考えられた.
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