紀要論文 肝門部領域胆管癌における血管胆管鞘への組織学的腫瘍浸潤の評価
Evaluation of Microscopic Tumor lnvasion of the Vasculo-biliary Sheaths in Perihilar Cholangiocarcinoma

廣瀬, 雄己  ,  若井, 俊文  ,  Hirose, Yuki  ,  Wakai, Toshifumi

129 ( 11 )  , pp.671 - 680 , 2015-11 , 新潟医学会
ISSN:0029-0440
NII書誌ID(NCID):AN00182415
内容記述
【緒言】UICC/AJCC TNM分類第7版において, 肝外胆管癌は肝門部領域胆管癌と遠位胆管癌とに分類された. 本邦の胆道癌取扱い規約第6版においてもTNM分類に準拠して, 肝内腫瘤の有無にかかわらず, 肝側左側は門脈臍部の右縁から肝側右側は門脈前後枝の分岐点の左縁までの範囲である肝門部領域胆管に主座のある癌を肝門部領域胆管癌と定義している. 肝門部領域胆管癌は, 肝内直接浸潤陽性肝門部胆管癌と肝門部浸潤陽性肝内胆管癌とが含まれているが, 両者を臨床的に鑑別することは困難であることがある. 本研究の目的は, 肝内直接浸潤陽性肝門部胆管癌と肝門部浸潤陽性肝内胆管癌とを肝門部領域胆管癌として扱い, 血管胆管鞘への組織学的腫瘍浸潤に基づく進展様式を評価することで両者を鑑別することが可能であるかを検証することである. 【材料と方法】1988年1月から2011年12月までに当科で根治切除が行われた胆管癌164例中, 組織学的に肝門部浸潤およびpHinf1b以上の肝内直接浸潤の両者を認めた肝門部領域胆管癌52例を対象とした. 本研究では, hematoxylin-eosin and Victoria Blue(HE-VB)二重染色にて血管胆管鞘(Glisson鞘, Laennec被膜, 肝門板)の弾性線維を同定し, 血管胆管鞘への組織学的腫瘍浸潤に基づく進展様式を評価することで原発部位を判定し, 肝内直接浸潤陽性肝門部胆管癌と肝門部浸潤陽性肝内胆管癌とを鑑別した. 【結果】術式は, 全例において胆道再建を伴う肝葉切除以上の肝切除が施行されていた. HE-VB二重染色による組織所見において血管胆管鞘の弾性線維は, 肝内と肝外とを隔てている解剖学的判断基準であり, 腫瘍浸潤部位でも弾性線維の構造は保たれていた. このため, HE-VB二重染色により同定された血管胆管鞘の弾性線維を判断基準とし, 肝外から肝内へ浸潤する肝内直接浸潤陽性肝門部胆管癌と, 肝内から肝外へ浸潤する肝門部浸潤陽性肝内胆管癌とを組織学的に鑑別することは可能であった. 組織学的に大型胆管から肝内へ浸潤する腫瘍のうち, 腫瘍の主座が胆管二次分枝あるいは胆管二次分枝より末梢に存在する場合は, 規約に準拠し, 肝門部浸潤陽性肝内胆管癌とした. この組織学的分類の結果, 肝内直接浸潤陽性肝門部胆管癌34例, 肝門部浸潤陽性肝内胆管癌18例であった. 肝門部浸潤陽性肝内胆管癌は肝内直接浸潤陽性肝門部胆管癌と比較して有意に無黄疸例が多く(P<0.001), 血管浸潤(P=0.006), 組織学的遠隔転移(P=0.003), 遺残腫瘍(P=0.040)の陽性頻度が有意に高かった. 【結語】肝門部領域胆管癌において, HE-VB二重染色を用いて同定された血管胆管鞘の弾性線維への組織学的腫瘍浸潤に基づく進展様式を評価することで, 肝内直接浸潤陽性肝門部胆管癌と肝門部浸潤陽性肝内胆管癌とを鑑別することが可能である。
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http://dspace.lib.niigata-u.ac.jp/dspace/bitstream/10191/44294/1/129(11)_671-680.pdf

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