Departmental Bulletin Paper ラット一過性局所脳虚血モデルにおける血管新生阻害因子VEGF_<165>bの発現と血管新生抑制作用の検討
An Anti-angiogenic Factor VEGF_<165>b Expression and Inhibitory Effect on Angiogenesis After Focal Cerebral Ischemia in Rats

石川, 正典  ,  西澤, 正豊  ,  Ishikawa, Masanori  ,  Nishizawa, Masatoyo

129 ( 10 )  , pp.573 - 584 , 2015-10 , 新潟医学会
ISSN:0029-0440
NCID:AN00182415
Description
【背景】脳梗塞後の回復期において, 機能回復を促進させる治療法の確立が望まれているが, 未だ臨床応用はなされていない. 血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor; VEGF)は, 血管新生を強力に促進する血管リモデリング因子であり, 脳梗塞超急性期において血液脳関門を破綻させ, さらに血栓溶解療法後の脳出血合併症に関与する. 一方, VEGFのスプライシングバリアントであるVEGF_<165>bは, VEGFとVEGF受容体の結合を競合的に阻害し, 内因性のVEGF阻害因子として作用する. しかし, 脳虚血後のVEGF_<165>bの発現や局在の変化, 血管新生への影響については不明である. 【目的】VEGF_<165>bが脳虚血後の血管新生を阻害する可能性を検討すること. このため一過性局所脳虚血後のVEGF_<165>bの発現および局在の変化と, VEGF_<165>bが血管新生に及ぼす影響について検討すること. 【方法】雄Sprague-Dawleyラットを用いた一過性局所脳虚血モデルを用い, 虚血後1日, 3日, 7日, 14日, および対照(非虚血群)の大脳皮質を脳試料として採取した. VEGF_<165>bの経時的変化と局在を, 抗VEGF_<165>b抗体を用いたウェスタンブロットと免疫組織化学, 蛍光2重染色により評価した. 血管内皮細胞の増殖を検出するためKi-67 (細胞増殖マーカー), およびendothelial barrier antigen (EBA; 血管内皮マーカー)の蛍光二重染色を行った. さらにVEGF-VEGF受容体シグナリングを介した血管新生のマーカーであるendocanに対する抗体を用いたウェスタンブロットと免疫組織化学を行い, VEGF_<165>bと血管内皮細胞増殖, VEGF-VEGF受容体シグナリングを介した血管新生の関係を検討した. 【結果】VEGF_<165>bは虚血後3日目をピークとして増加し, 虚血中心部の血管内皮細胞に発現した. 一方, VEGFは虚血辺縁部に発現し, 両者は共局在しなかった. Ki-67で評価した血管内皮細胞の増殖は, 虚血後3日目をピークとして虚血中心部において増加した. しかしendocanは虚血後7日目以降に増加するものの, 虚血中心部には認めず, 虚血周辺部の血管のみに発現していた. 【考察】虚血中心部の血管内皮細胞は増殖するものの, VEGF_<165>bの発現により, VEGF-VEGF受容体シグナリングを介した血管新生が阻害されているものと考えられた. 【結論】VEGF_<165>bは脳梗塞の回復期における血管新生を促進する新規治療標的分子として有望である.
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