紀要論文 適切な症例選択と治療により乳房温存手術後の局所再発は制御可能である
Appropriate Indication of Breast Conserving Surgery and Post-Surgical Systemic Therapy Bring about Better Local Control

長谷川, 美樹  ,  若井, 俊文  ,  Hasegawa, Miki  ,  Wakai, Toshifumi

129 ( 8 )  , pp.433 - 440 , 2015-08 , 新潟医学会
ISSN:0029-0440
NII書誌ID(NCID):AN00182415
内容記述
【目的】乳癌に対する手術療法は, 大きく分けて乳房切除手術と乳房温存手術に分けられる. ランダム化比較試験において, 乳房温存手術の局所再発率は乳房切除手術に比して高かったものの生存率に有意差を認めなかったことから, 腫瘍径が小さい(主に3cm以下)の乳癌に対する乳房温存手術は, 乳がん診療ガイドラインにも推奨される治療となった. しかし, 局所再発率が高値となった場合には生存率に悪影響を及ぼすことも判明しているため, 局所再発の危険性を軽視すべきではない. 本研究では, 合併症を有する乳癌症例に対し, 術後治療を考慮して乳房温存手術の適応を決定している当院の治療成績を明らかにし, 手術適応の妥当性について検証することを目的とした. 【対象と方法】1990年から2011年に原発性乳癌で手術を行った女性のうち, 術前病期I/II期であった乳房温存手術例(BCS群)272例, 乳房切除例(BT群)385例を対象とした. 評価項目は, 疾患特異的-累積局所再発率, 疾患特異的-累積局所・所属リンパ節再発率, 疾患特異的-累積無再発生存率, 累積全生存率とし, P<0.05を有意差ありと判定した. また, ガイドラインのエビデンスとなったEORTC10801 Trial, NSABP B-06 Trial, Milan Trialの手術適応と治療成績, 日本乳癌学会治療ガイドラインの手術適応と日本乳癌学会全国乳がん登録の治療成績について, 当院の手術適応および治療成績と比較した. 【結果】術後10年の疾患特異的-累積局所再発率はBCS群で1.2%, BT群で5.2%であり, BCS群とBT群で有意差を認めなかった(P=0.1129). 所属リンパ節再発を含めた疾患特異的-累積局所・所属リンパ節再発率はBCS群で3.5%, BT群で8.8%であり, BCS群で有意に再発が少なかった(P=0.0115). 遠隔転移再発を含めた術後10年の疾患特異的-累積無再発生存率は, BCS群で80.4%, BT群で74.3%であり, BCS群で有意に少なかったが(P=0.0235), 累積全生存率ではBCS群で87.6%, BT群で83.5%であり, 有意差を認めなかった(P=0.1446). 所属リンパ節再発を局所再発に含めた場合のBCS群の術後5年, 10年, 20年の疾患特異的-累積局所再発率は, それぞれ1.3%, 3.5%, 3.5%であり, Milan Trialと同等の成績であった. 病期別の疾患特異的-累積局所・所属リンパ節再発率, 疾患特異的-累積無再発生存率, 累積全生存率は, 日本乳癌学会の全国乳がん登録調査と同等の成績であった. 【結論】術後薬物療法および放射線治療を一連の治療と考えた上で術式を決定することで, 局所再発を抑制し良好な治療成績を得ることは可能である.
本文を読む

http://dspace.lib.niigata-u.ac.jp/dspace/bitstream/10191/44132/1/129(8)_433-440.pdf

このアイテムのアクセス数:  回

その他の情報