Thesis or Dissertation SSA/P由来早期大腸の分子病理学的検討

中村, 隆人  ,  Nakamura, Takahito

pp.1 - 18 , 2016-03-23 , 新潟大学
Description
学位の種類: 博士(医学). 報告番号: 甲第4106号. 学位記番号: 新大院博(医)甲第673号. 学位授与年月日: 平成28年3月24日
SSA/P(sessile serrated adenoma/polyp)は鋸歯状管腔構造を特徴とする大腸の上皮性増殖性病変のひとつであり、MSI-H (microsatellite instability-high:マイクロサテライト不安定)大腸癌の前駆病変として位置づけられるようになってきた(serrated neoplasia pathway: SNP)。SNPでは、BRAF変異をinitial mutationとして、CpG island methylationの蓄積(CpG island methylation phenotype: CIMP)、ミスマッチ修復遺伝子MLH1のmethylationによる機能不全、MSI-Hを経て大腸癌が発生・生長すると考えられているが、病理組織学的にSSA/Pに由来することが確認された大腸癌(SSA/P由来癌)を対象として、これら遺伝子異常の網羅的解析を行った研究はない。本研究では、外科切除および内視鏡的切除SSA/P内早期癌(SSA/P由来癌)37例を対象に、SSA/P由来癌が実際にSNPで起きるとされている遺伝子変異を伴っているのか、遺伝子変異のパターンに多様性があるのかどうか、について検討した。対照は、発生部位と深達度をマッチングさせた腺腫内癌(腺腫由来癌)37例とした。パラフィンブロックから3μm切片でHE染色、MLH1蛋白に対する免疫染色を行い、10μm切片からDNAを抽出し、BRAF、KRAS、p53の遺伝子変異の有無、CIMPとMSIの解析を行った。免疫染色では、SSA/P由来癌では腺腫由来癌に比べ有意にMLH1蛋白の喪失が認められた(81.1% vs 0%: p<0.001)。遺伝子解析では、SSA/P由来癌はBRAF変異率(78.1%)、CIMP+頻度(94.6%)、MSI-H頻度(83.8%)が高く、腺腫由来癌とは有意差があった(P<0.001)。一方、SSA/P由来癌のKRAS変異率(3.1%)、p53変異率(9.4%)は腺腫由来癌に比べ有意に低かった(P<0.001)。SSA/P由来癌32例の遺伝子解析結果を層別化すると、SSA/P由来癌は、A群[BRAF+, KRAS-, CIMP+, MSI-H, p53-]:56.3% (18/32), B群[BRAF+, KRAS-, CIMP+, MSS,p53+ or -]:15.6% (5/32)、C群[BRAF-, KRAS-, CIMP+, MSI-H, p53-]:18.8% (6/32)、その他:9.3% (3/32)の4群に大別された。これらのことから、SSA/P由来癌では、半数以上でSNPで想定されている遺伝子異常を示す(A群)ことが遺伝子変異の観点からも直接検証されたが、遺伝子変異には多様性があり、MSI-Hの代わりにp53異常が癌化に関与するものや、BRAF変異が必ずしもinitial mutationではないものも存在すると考えられた。SSA/P由来癌で共通してみられる遺伝子異常はCIMP+であり、SSA/Pを起点とするSNPは、CIMP+で特徴付けられる大腸癌の発生経路と考えられた。
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http://dspace.lib.niigata-u.ac.jp/dspace/bitstream/10191/41901/1/h27nmk673_a.pdf

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