Thesis or Dissertation 成人吃音における合成音声を用いた在宅吃音訓練法に関する研究

小山内, 筆子

pp.1 - 74 , 2016-03-23
Description
本論文は,成人吃音の臨床を行う言語聴覚士(ST)や訓練施設が全国的にも少なく,成人吃音者に対して十分な訓練を提供できないことから,ST訓練を補う新たな吃音訓練法として,在宅吃音訓練法を提案し,成人吃音1例に対して適応し,検討したものである.第1章では,本研究の背景を述べたのち,成人吃音者のニーズに対応することが困難な現状として,STや訓練施設が絶対的に不足していること,STによる訓練頻度は月1回程度あり,量的に確保できないこと,青森県におけるST1人あたりの成人吃音者数は全国の7.6倍であり,地域格差が生じていることを示した.第2章では,吃音の定義,発生,原因,特徴について述べ,STが行っている成人吃音訓練についてまとめた.第3章では,幼児期から吃音がある重度成人吃音1例を対象に行った月1回のST訓練と,これまで重要とされながらも十分に検討されてこなかった在宅訓練に着眼し,提案する合成音声を用いた在宅訓練の内容とその結果を示した.在宅訓練は,STの管理の下,在宅訓練の内容と発話速度を決定し,系統的に実施した.また,同時期に吃音の状態に関する心理面や在宅訓練における流暢性の満足度の評価を行った.その結果,吃症状と心理面に一定の改善が認められ,流暢性の満足度においても高い水準を維持することが可能であることを示した.さらには,在宅訓練経過における流暢性の満足度やコミュニケーション態度の変容を把握することにより,流暢性形成訓練の欠点とされたぶり返しやコミュニケーション態度が改善され,在宅訓練がST訓練を補う重要な役割を果たし得ることを示した.第4章では,第3章で述べた成人吃音1例に対して行ったST訓練と合成音声を用いた在宅訓練の効果を検証するため,経過観察と追跡面接を行い,訓練終了後の流暢性の定着とコミュニケーション態度の関連について分析した.その結果,吃頻度は早い段階で顕著に改善され,追跡面接においても流暢性が維持されていることが示された.一方で,コミュニケーション態度においては,訓練終了後に顕著な改善が認められ,これまで言われてきたように吃頻度に改善がみられてもコミュニケーション態度の改善に至るまでには経過観察を含めた長期的支援が必要であることを明らかにした.第5章では,本研究で得られた結果について総合的考察を述べ,提案した合成音声を用いた在宅訓練法が十分に使えるようになるためには,成人吃音者と支援者が協働した取り組みが必要であることを記した.第6章では,本研究の成果を述べ,最後に今後の課題として,症例数を増やし検討すること,在宅訓練における発話速度の設定と追跡面接時の音読所要時間の延長について検証が必要であることを示した.
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http://repository.ul.hirosaki-u.ac.jp/dspace/bitstream/10129/5849/1/tdr_5r_osanai.pdf

http://repository.ul.hirosaki-u.ac.jp/dspace/bitstream/10129/5849/2/tdr_5r_osanai_a1.pdf

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