Departmental Bulletin Paper 財政民主主義からみた住民監査請求制度の実態的側面の検討
A Study on Institution and Operation of the Citizens’ Audit in terms of Financial Democracy

金目, 哲郎

(11)  , pp.105 - 119 , 2015-03-18 , 弘前大学大学院地域社会研究科
ISSN:1349-8282
NCID:AA12016218
Description
財政民主主義の保障という視点から住民監査請求制度の「実態的側面」と今後の課題を提示する。まず、財政民主主義の具体化を補完するしくみの一形態として同制度の趣旨や意義を整理する。次に、全国の請求状況を概観した後、最近公表された各都市の監査結果の原文を対象に、住民参政の可能性を視野に入れてその中味の具体的検討を行う。事例検討の結果、その中心的争点がどちらかといえば「非財務会計行為」に比重があると認められる請求であっても、一連の過程から「財務会計行為」の違法・不当性にかかる請求要件を見出したうえで監査側がこれを受け止め、政策や制度の是非を問う請求事例が数多くある。また、監査委員による付帯意見が述べられる事例が散見され、その内容は「財務会計行為」の領域にとどまらず政策的、裁量的な行財政運営面にまで及ぶものもあり、住民による請求意図に応えるものとなっている。一方、同制度の司法的性格に由来する法的な専門的知見を必要とする請求事例も少なくない。このように、住民監査請求制度は、究極的には住民自治の保障を目指しながら、代議制を基礎とする財政民主主義の補完のための貢献的要素と限界的要素を併せ持つ制度装置であることが、実態的側面から再認識できる。以上を踏まえて、住民参政を保障し住民自治を育むという視点からみると、監査の「間口の広がり」や政策面に関する付帯的な意見・要望が表明されるという弾力的な制度運用は、財政民主主義の具体化を内容面から補完する点では望ましい。主権者としての住民が直接に財政統制に関与するという理念的側面を具体化しようという監査現場での試みや努力が、住民監査請求の監査結果の諸事例から確認できる。こうした制度運用は、住民監査請求の法的な制度趣旨を考慮しつつも、財政民主主義の具体化を補完する、住民による直接参政のさらなる展開を期待させるものである。
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http://repository.ul.hirosaki-u.ac.jp/dspace/bitstream/10129/5542/1/RegionalStudies_11_105.pdf

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