Departmental Bulletin Paper 離郷と帰郷のあいだ : 太宰治『竹青』におけるノスタルジア
Between Exodus and Homecoming : On Nostalgia of Osamu Dazai’s “Chiku-Sei”

趙, 松娟

Description
[要旨] 本研究は主に1940年代の太宰治の作品『竹青』と初出文末の「自注」に注目し、第二次世界大戦下で、敗戦色の濃厚になりつつあった日本の時代状況と結び合わせ、文学大衆化の動きがまだ一般的ではなかった当時の中国のインテリ読者に伝えるメッセージを掘り起し、1930・40年代において日本では盛んであった愛国心、郷土教育の視点から当時社会での「帰還兵」と「新沃土」「新天地」の開拓を目指した「満州移民」の歴史問題に即して先行研究をまとめた上で、現在、この作品から読みとれる可能性を論じた。特に、主人公が立身出世の夢を諦めて帰郷し、再び「故郷」を出ることがなかったというラストシーンの設定は、「敗戦」という終わりの後の始まりを意識した太宰が、戦後への平和な日常を再建する構想を穏当な表現で政治的な正しさを追究するため、戦争末期の状況下において巧みに語ったという結論を導いた。
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http://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/104148/S18834744-35-P087-TYO.pdf

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