Thesis or Dissertation 水温がコアマモの生長,光合成速度,貯蔵炭水化物含有量に与える影響

米山, 広高

2016 , 三重大学
Description
コアマモは潮間帯に生育する多年生の海産種子植物である。種子による有性繁殖と地下茎の分枝・伸長による栄養繁殖を行う。本研究は,季節変化に伴うコアマモの生存戦略を解明することを目的とした。そこで,コアマモを10,15,20,25℃の水温で室内水槽培養することで,水温とコアマモの生長,光合成速度,呼吸速度,貯蔵炭水化物含有量との関係を明らかにした。コアマモの全ての株の葉長の合計は20℃で最長となったが,葉1枚当たりの長さは25℃で最大葉長となった。地下茎は20℃で最も伸長し,他の水温に比べて約3倍近くになった。葉面積当たりの光合成速度は25℃で最も高くなり,10,15℃の約3倍高い値を示した。葉の乾燥重量当たりの光合成速度は20℃で最も高くなった。乾燥重量あたりの地下茎の呼吸速度は水温が高いほど高くなる傾向が見られた。また,葉面積当たりの乾燥重量は25℃が他の水温よりも約2倍重かったため,25℃では葉が厚くなると考えられた。貯蔵炭水化物では,スクロースは地上部,地下部ともに株と節間の新しさに関係なく,ほぼ一定量含まれており,低水温で培養したものほど多く含まれていた。地下部は地上部と比べて約2倍多く含まれていた。デンプンはどの水温でも地上部には含まれていなかったのに対して,地下部には20℃で最も多く含まれ,古い節間ほど多く含まれていた。本研究より,コアマモは次のような生存戦略をとっていると考察した。コアマモの天然群落は20℃付近で地下茎を伸ばし群落を拡大し,25℃付近の水温になると,拡大した群落は地下茎を伸ばすことをやめ,葉を厚くする。そうすることによって,限られた土地で生産力を高め,夏の強光(特に干出する時)による光阻害を防御する。また,夏に蓄積したデンプンを冬にデンプンをスクロースにして,草体の糖度を高め,耐凍性を獲得していると考えた。本研究より,コアマモの季節変化に伴う生存戦略の一部を解明できたと考えた。
三重大学大学院 生物資源学研究科 博士前期課程 生物圏生命科学専攻 海洋生物科学講座
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