紀要論文 ドイツにおける言語ナショナリズムと俳優の語り言葉の並行関係についての考察 : ハインリヒ・テオドール・レッチャーの『劇的演技術』を手掛かりに
Die Betrachtung über die Beziehung zwischen dem Sprachnationalismus und der gesprochenen Sprache in Deutschland : Anhand der Die Kunst der dramatischen Darstellung von Heinrich Theodor Rötscher

山崎, 明日香  ,  YAMAZAKI, Asuka

32pp.85 - 93 , 2015-03-30 , 三重大学人文学部文化学科
ISSN:0289-7253
NII書誌ID(NCID):AN10045090
内容記述
本稿は19世紀のなかばに活躍した演劇評論家ハインリヒ・テオドール・レッチャー(HeinrichTheodorR・tscher,1803-1871)の著書『劇的演技術(DieKunstderdramatischenDarstellung)』(1841-46)において提唱された俳優のための音声論を、18世紀以降のドイツの標準語形成運動と俳優の語り言葉についての問題に関連づけて考察するものである。レッチャーは、同時代の演劇界で広範な影響力を及ぼした著名な人物であり、1844年以降プロイセン政府の委託を受けて公的に演劇評論活動を行った。本稿で取り扱うレッチャーの『劇的演技術』は、演劇、俳優、そして演技術全般について包括的に論じた理論書であり、国民の道徳機関としての劇場機能の強化も併せて説いている。本稿の第一章は、18世紀以降のドイツの標準語形成運動と、それに並行して議論されてきた俳優の語り言葉に関する問題を取り扱った。その際に、レッチャーの音声論が、ドイツの標準語形成運動において、俳優の語り言葉の統一化と純粋言語への模範化に際して理論的な後ろ盾となったことを指摘した。そして第二章は、レッチャーの標準語と方言をめぐる考察をいくつか抜粋し、それを言語ナショナリズムに関連付けて論じた。レッチャーの音声論は、ドイツの標準語形成運動におけるナショナルかつ言語教育的な芸術言語の認知の流れを強めた一つの理論書であった。
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http://miuse.mie-u.ac.jp/bitstream/10076/14416/1/10C17293.pdf

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