学位論文 日本産ハマトビムシ科端脚類の分布と分子系統解析

笹子, 由希夫

2011-01-01 , 三重大学
内容記述
ハマトビムシ科端脚類(甲殻綱)(以下ハマトビムシ類)は極地を除く世界各地から約52 属250 種が記載されており、我が国からは約7 属21 種が報告されている。しかし、我が国のハマトビムシ類には未記載種が多数含まれ、さらに近年でも新種が報告されており、分類学的に不明な点が多い。ハマトビムシ類は端脚目で唯一、森林土壌に生息するLandhoppers が知られており、その特異性からこれまで進化学的研究がいくつかなされてきた。しかし、その多くは生態・形態・生理学的アプローチに基づくものであり、さらに我が国において海岸性のハマトビムシ類であるBeachfleas やSandhoppers、そして森林土壌性のLandhoppers を包括的に扱った進化学的知見はほとんど知られていない。本研究では、日本各地でハマトビムシ類の分布調査を行い、採集されたサンプルを従来の形態分類に基づき種同定するとともに、ミトコンドリアDNA(mtDNA)の COI 及びCOII 遺伝子領域の配列決定と分子系統解析を行った。そして、分子系統解析によって得られた結果を従来の形態分類と比較すると共に、その種分化と生息環境との関連性、さらに日本産ハマトビムシ類の内陸進出過程について明らかにすることを目的とした。調査の結果、日本各地の102 ポイントから計7 属17 種を同定した。各種とその生息環境には関連性が見られ、”Parorchestia”属のように全てのサンプルが森林土壌中から見出されたものや、Sinorchestia 属やTrinorchestia 属のように砂浜にのみ分布するもの、さらには同属・種内で様々な環境中から見出されたPlatorchestia 属やPaciforchestia 属などが確認された。分子系統解析の結果、各属は全て単系統となり従来の形態分類を強く支持する結果となった。また、生息環境の類似したハマトビムシ類が様々な分類群から派生しており、この点においても従来の知見を改めて支持する結果となった。すなわち、(1) 我が国に分布する全てのCuspidactylate landhoppers が、異なる3 つの分類群のBeachfleas から進化した可能性、(2) Sandhoppers が大きく2 つの分類群のBeachfleas から進化した可能性、(3) Sandhoppers とLandhoppers には遺伝的な隔たりが大きく、砂浜環境を経た内陸進出の可能性は低いこと、が示唆された。
三重大学大学院生物資源学研究科博士前期課程生物圏生命科学専攻
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