学位論文 初期の空間的注意選択における知覚的体制化の役割

竹谷, 隆司

2016-03-24
内容記述
脳が一度に処理できる情報量には限りがあり,選択的注意の機能は適応的行動にとって重要である。物体ベースの注意 (object-based attention)の理論では,注意選択は「物体」を単位として生じる。これまで,様々な視覚刺激が注意の単位となることが実験的研究から示されてきた。ただし,視覚処理には局所的な特徴を符号化する低次な視覚野からそれらを統合するより高次な視覚野―性質の異なる網膜同位性を持つ30 以上の視覚野―が関わっている。そのため注意選択の対象となる視覚物体の表象は単一ではなく,視覚刺激や関わる視覚領野によって異なるはずである。しかし,物体ベースの注意の神経基盤と物体の性質の関係についての生理学知見は少ない。 本研究の目的は,中間段階の視覚処理における「物体」を構成する刺激要因を整理し,それらが物体ベースの注意に果たす役割を明らかにすることである。第1 部では,物体ベースの注意に関して,特に,注意選択の一連の過程を反映する事象関連電位 (event-related potential, ERP) を用いた研究を中心にまとめ,注意の単位となる視覚表象と対応するERP 成分を示すモデルを生成した。第2部は,物体の性質をより詳細に明らかにすることを目的とした実験から構成される。視覚処理においては,階層的な体制化処理のそれぞれが異なる性質の物体表象を形成すると考えられている。そこで,もっとも基本的な体制化手がかりであると考えられる均一な連結性 (uniformed connectedness) と図地手がかり(figure-ground cue) が物体ベースの注意に果たす役割を,ERPを用いて検討した。結果として,連結性は特別な群化要因ではなく,むしろ他の群化要因と同様に物体ベースの注意選択を促進することが示された。一方で,手前の物体が周囲の物体や背景を遮蔽する図地手がかりは,物体ベースの注意選択が生じる処理段階を早めることが示唆された。第3 部ではこれらの実験結果に基づき,第1部で生成した,注意が選択する視覚表象に関するERP モデルを更新した。
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Hokkaido University(北海道大学). 博士(教育学)
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