紀要論文 ノダ系の諸表現の機能について
On the functions of no da-related expressions

安田, 崇裕

15pp.125 - 145 , 2016-01-15 , 北海道大学文学研究科
ISSN:1347-0132
NII書誌ID(NCID):AA11597545
内容記述
一般的な会話の原則として,断定的な発話は,発話直前の話し手の判断と対応している(結び付いている)と解釈上期待される。また,或る認知主体が新たな判断を下す際,その材料(入力)となる信念ないし意志は心的に「判断の対象外」に位置づけられる必要がある。以上を踏まえ,ノダ表現の基本的な機能は「信念ないし意志を提示しながら,それを抱く認知主体において心的に「判断の対象外」に位置づけられることを言語的に表示する」ことだという仮説を立てる。これを踏まえて,以下の五つの問題点に説明を与えることができる。 ①「あらかじめ定まっている」と認められない事態の発生についての発見の発話にノダ文が用いられないのは,「今まさに事態を観察し判断すること」が注目されるためである。この場合は「判断の対象外」を表すノダ文は不適合になる。 ②発見の発話でノダ文と非ノダ文が共に使用できる場合の使い分けは,判断を下すことと,判断の対象外となることのどちらに注目するかによる。ノダ文には話し手にとっての情報の意義を表す用法があるため,そのように認める場合はノダ文が用いられやすい。ただし,直接的な知覚が「感情の呼び起こし」の材料となる場合は非ノダ文が用いられる。どんな観点で材料とするかを詳しく指定する場合はノダ文が用いられる。 ③会話における受け止めるノダ文に「聞き手の方がよく知っている」という態度を示す効果があるのは,非ノダ文による「話し手の判断の提示」を,ノダ文の使用によって回避することになるためである。 ④ノダ表現が「解説づけ」や「感情の呼び起こし」を意図した発話であるという解釈を導くのは,それらの材料が「判断の対象外」となっている必要があるためである。ノダ表現は「判断の対象外」と位置づける機能を持つので,その内容を「解説づけ」などの材料とする意図があると解釈できる。 ⑤「解説づけ」や「感情の呼び起こし」の用法が聞き手など他者についても適用されるのは,他者の心的状態を想像上に構成していると解釈できるためである。一般的に,他者に解説などを行う場合,何を知っていて何を知らないかという相手の心的状態を想像する必要があり,これもその一環である。
本文を読む

http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/60552/1/15_012_yasuda.pdf

このアイテムのアクセス数:  回

その他の情報