紀要論文 Sherwood Anderson 再考 : Something と Tandy
A Reconsideration of Sherwood Anderson : Something and Tandy

一瀬, 真平

15pp.81 - 91 , 2016-01-15 , 北海道大学文学研究科
ISSN:1347-0132
NII書誌ID(NCID):AA11597545
内容記述
本稿はSherwood Andersonの短編集Winesburg, Ohio に描かれる真理の ビジョンを考察するものである。プロローグの〝The Book of Grotesque" に おいて,真理の理論が提示されているように,この短編集では,「真理」が重 要な主題となる。難しい言葉をどんなに並べても正確には言い表すことので きない真理を,Andersonは,簡潔な言葉と文体によって,いかにして表現す るのか。本稿は,各短編の真理の描かれ方に共通のパターンがあることを解 き明かしていきたい。 これまでの先行研究でも,この作品の主題である真理について論じたもの は多くあった。特に注目したいのは,表現主義からAnderson作品を解釈した David Stouckの論である。Stouckは,Anderson作品では表現が不可能なも のが度々言及されることを指摘している。 本稿は,この言語化が困難なものを考察する鍵として,something の多用と Tandyという不可解な言葉に焦点をあてる。Andersonは,物語における真理 に関わる場面を表現する際,「何か(something)」と表したり,意味を持たな い言葉を使ったりすることで,具体的な表現を避ける。一方で,各短編にお いて表現が暈された真理には,共通するビジョンが描かれている。それは, 老いと若さ,生と死,破壊と創造など,対立する要素が入り交じったイメー ジである。このシニフィアンにならない真理のビジョンを,Andersonは言語 化することはせず,各短編を通してそのイメージを提示することで,そのビ ジョンを読者の頭の中に浮かび上がらせようとしていた。
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http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/60546/1/15_006_ichinose.pdf

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