学位論文 Image-Value ペアに基づく遺伝的プログラミングを用いた画像処理プログラムの自動生成に関する研究

土居, 意弘

2015-06-30
内容記述
近年,画像処理アプリケーションの利用が,ますます広がっている.背景には,コンピュータの小型高性能化と,認識や識別の分野において信頼性が高く優れた画像処理アルゴリズムの登場がある.しかし,扱う画像データは,映り込むものの種類や数が異なったり,画像撮影の環境や使用機器などに起因して画像の明るさや陰影が変化したりするなど,幅広い条件を考慮する必要がある.そのため,実用的なアプリケーションでは,主となるアルゴリズムだけで目的を満足することは難しく,ノイズ除去や注目する特徴量の強調などを目的とした前処理を行うことが一般的である.前処理の開発は,既存の標準的な画像フィルタの組み合わせで行われることが多い.しかしながら,画像処理設計は知識や経験に基づくノウハウに依存している部分が多く,専門家であっても手間のかかる作業であり,開発生産性上の課題となっている.この課題を解決するため,遺伝的プログラミングにより画像処理プログラムを自動生成する方法が提案されている.遺伝的プログラミングとは,プログラムを生物個体に見立てて,生物の進化のように最適化を進める手法である.プログラムはサブルーチンが木構造に接続されたもので表現され,良いプログラムはその特長を引き継いだ子孫を残し,悪いプログラムは淘汰される.次世代の個体は,2つのプログラムの一部を交換したり,あるいはプログラムの一部をランダムに入れ替えたりする遺伝的操作を用いて生成される. 画像処理プログラムは,画像データだけでなく閾値や分岐条件などに利用される数値データも取り扱うことが一般的である.しかし,遺伝的プログラミングの交叉や突然変異操作によって異なる入出力データ型のサブルーチンが接続されてしまうと,実行できないプログラムが生成されてしまうため,複数のデータ型が混在したプログラムを生成することは困難であった.従来手法では,接続ルールを与えて入出力型に配慮した遺伝的操作を行う方法や,画像フィルタの順序に制約を与える方法などが用いられているが,適用する課題によりルールや制約を変える必要があるため,より一般的に利用できる簡潔な方法が望ましい.また,遺伝的プログラミングでは,世代交代を重ねると個体サイズが急速に肥大してしまう現象があり,プログラムサイズを制限することが行われる.しかし,事前に適切なプログラムサイズはわからないため,サイズ制約は避けたい.本論文では,これらの問題を解消するため,Image-Valueペアという概念を提案する.遺伝的プログラミングの個体表現を,Image-Valueペアを入出力として処理するサブルーチン(Image-Valueフィルタ)をノードとする木構造にすることで,遺伝的操作におけるデータ型の混在を無理なく解消することができる. Image-Valueフィルタの内部構造は画像演算と数値演算の2つのフィルタからなっており,個体の評価を行う場合は,これらの内部フィルタで構成されたプログラムに変換してから実行する.また,変換と同時に個体の評価結果に寄与しない冗長なフィルタを除去することにより,個体サイズの肥大が増大しても,実質的な演算量の増加を抑えることができる. 提案手法の有効性を確認するため,自然画像からの背景除去課題および画像クラス分け課題に適用し,入力画像と期待する出力画像を与えるだけで,未知画像に対しても頑健な性能を示すプログラムを自動生成できることを確認した.
104p
Hokkaido University(北海道大学). 博士(情報科学)
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http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/59678/1/Munehiro_Doi.pdf

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