紀要論文 企業組織再編法制の改善

魯, 赫俊  ,  RHO, Hyeok-Joon

122015-03-15 , 名古屋大学法政国際教育協力研究センター(CALE)
内容記述
本論は最近の買収合併法制の改善、特に逆三角合併の導入に関する議論に際して、韓国の合併、株式交換、三角合併等組織再編法制を全般的に再構成する必要性について扱っている。逆三角合併の導入過程において特定の取引構造を念頭においた特例のみに思い煩うことなく、全般的な企業組織再編法制の改善という観点を反映しなければならないということがこの論文の問題意識である。企業組織再編に関する商法上の制度の一般的改善の観点からみるとき、本論の主要な主張は次のとおりである。①合併の際、存続会社の株主が既存の株主としての地位を喪失する形態の逆合併、逆株式交換も認めなければならない。当該株主は合併、株式交換の過程においてなされる株主総会の特別決議手続、株式買取請求権により保護されているためである。②株式交換の際、引受会社(すなわち完全親会社となる会社)の株主保護の水準を合併の際のそれとは別に定めなければならない。すなわち株式交換の際引受会社の株主総会特別決議および株式買取請求権を認める必要はなく、ただ、一定水準以上の新株発行(自己株式の場合を含む)がなされる時にのみ株主総会の承認を受けるようにすれば十分である。これは合併以外の構造再編過程において引受会社の新株発行がなされる時には同様に適用されなければならない法理である。③100%子会社関係(組織再編を通じた100%関係の設定を含む)を活用した企業構造再編において親会社は対象会社の株主に企業再編の対価として直接新株を発行するか、その他他の財産を交付することができるようにする。上の3 種類の立法論の普遍的な妥当性は本文において述べたところである。もしこのような一般的立法がなされたならば、既存商法が認めている正方向三角合併はより簡単になされるようになる。③により引受会社(A)による直接の新株発行が可能であるので、子会社(S)が100%親会社であるA 会社の株式をいったん取得することによる法的な混乱は解消される。一方米国においてよくなされている100%子会社を活用した逆三角合併も、やはり自然に可能となる。その直接の根拠は正方向三角合併と同様に③である。しかしこの理論的素地には①、②がでんと構えている。すなわち、①によってS とT の合併の際にT を存続会社としつつもT の株主の地位が喪失されることは理論的に説明することができるようになる。また②を通じて既存の制度である株式交換制度との整合性を保証できることとなる。ここで注意することは先に検討した(株式交換に対比した)逆三角合併固有の特徴のうち(ⅱ)の点である。一般的接近論である③によればたとえば逆三角合併の結果引受会社が対象会社株式を70%程度のみ保有することとなった形態は不可能となり、結局(ⅱ)の点でも株式交換との違いはなくなる。特定の制度(逆三角合併)のみをみるときには大きな問題として見えなくともむしろ特徴として認識されてきた部分に一般的な観点から見るときには混乱のもととして認識される場合であるといえよう。実務上、上記一部の株式保有のみがなされる形での逆三角合併は非常に異例である。今後その導入可能性を議論することはありえようが、その悪用のおそれを考えるに100%親子会社関係を前提として立法作業を進めることが妥当であろう。本論において論じる企業組織再編の再編法理は単に三角合併および逆三角合併のみのためのものではなくこのような基本法理を活用して多様な設計の組織再編を実現することのできるものである。逆合併、逆株式交換、三角分割合併等新たな使途が可能であり、また合併または逆合併をしつつ合併当事会社の親会社が保有する他の株式等を交付することによってかつて多くの段階を踏まなければ不可能であった取引構造を創り出すことができる。ただし税法的観点としての検討、および各種の脱法的行為に対する規整は別になされなければならないことはもちろんである。多様な取引設計に関してその経済的実質を把握し、税法的に裏付ける作業が続かなければ構造再編の実効を達成することが困難となりうる。また逆合併、逆株式交換を通じた迂回上場において見たように新たな制度を濫用しようとする使途は常に存在するものであり、組織再編制度の改善という大きな流れを詳しく補完する作業も必要である。
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