Departmental Bulletin Paper 若年層における多次元的貧困の要因 : JSHINEデータによる分析
Socioeconomic factors of multidimensional poverty for Japan's young generation

王, 瑋

154pp.41 - 57 , 2016-03-31 , 九州大学大学院経済学会
ISSN:0451-6230
NCID:AN00071436
Description
近年の日本では,少子化・高齢化などの人口構造の変化に加え,単身世帯や母子世帯の増加といった世帯の変容が目立ってきている。また,労働市場においても,非正規雇用と呼ばれる雇用形態で働く者が,90年代半ば以降,急速に増加している。単身世帯の増加は,規模の経済を発揮できない世帯が増えたことを意味し,非正規雇用の増加は,雇用期間に期限があり,継続的な就労にリスクを抱える層が増えていることを意味する。結果として,特に若年世帯において,所得の貧困が拡大傾向にある。また,若年層は,所得だけでなく,対人関係,生活に必要な時間など,様々な次元において困難を抱える層が存在している。そのため,若年層をはじめとする就労世代の貧困の実態を多元的に検証し,社会の変化に対応した実効性を伴う貧困削減策をさらに充実させる必要性がある。上記の問題意識に基づき,本稿では,貧困を所得,文化資本,社会的関係,生活時間の四つの次元から捉え,それらの次元から成る多次元的貧困の指標を計測することで,日本の若年層の多様な貧困の実態とその決定要因について,個票データを用いた考察を行うものとする。分析の結果,配偶状態,社会経済的地位(就業,学歴など),子育ての状況などの要因は,所得の貧困だけでなく,その他複数の次元の貧困に影響をもたらす重要な要因であることが示唆された。特に,女性が働く世帯は時間の貧困に陥る確率が高いことや,子育て世帯や単身世帯で多次元的貧困が発生しやすいことが示された。これらの結果から,日本では特に子どものいる子育て世帯や,両親が共働きの世帯に対する支援策が重要であり,労働時間と生活時間の調和に向けた支援策を充実させる必要性が示唆された。
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http://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/handle/2324/1654294/p041.pdf

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